C否認事件について
否認事件は,自分がやってもいないことで逮捕・勾留されていることになります。
検察が否認事件で起訴をするには,被疑者が有罪という判決になるだけの証拠が必要となります。
なぜならば,刑事訴訟の原則として
有罪の立証は検察がしなければならず,検察が立証に失敗すれば無罪になる
からです。
つまり,裁判では,検察は被告人を「クロ」であると立証しなければいけません。しかし,被告人は,自分が「シロ」であると立証する必要はなく,「グレー」だと立証すれば無罪となります。
よって,検察が起訴するか否かの基準は,結局
被疑者を裁判で有罪として立証できるだけの証拠があるかどうか
ということになります。
具体的な対応
そうすると,被疑者としては,検察が有罪と立証できるだけの証拠を与えないようにすることが重要になります。
しかし,弁護士を付けたとしても,検察の手持ち証拠は捜査段階では一切確認することはできません。
また,被疑者は身柄が拘束されている以上,証拠を与えないようにすると言ってもやれることは限られてきます。
つまり,主にできることとすれば,取り調べを受けた際に自身の記憶に従った供述をし続けるということになります。
逆にそれ以外はできないと思いますので,もしも身に覚えのない逮捕をされてしまった場合は,自分の記憶に従った供述をし続けることが自分にできる唯一のこととよく心がけてください。
供述を証拠にするためには,警察官や検察官が聞き取った内容を文章にし,これを被疑者に読み聞かせて,誤りがなければ指印を押させ,署名させて完成させるという供述調書というものを作成します。
この供述調書は,被疑者のお話をまとめたということですが,読み聞かせ段階において自分の記憶にないこと,自分が話してもいないことが書いてあった場合は,必ずその訂正を申し出てください。
もし,警察官・検察官がその訂正の申し出に応じてくれなかった場合は,必ず供述調書の署名指印を拒否してください。
供述調書は一度できあがってしまうと,裁判上でこれを否定するのは困難を極めます。
よって,供述調書に署名指印をする際には慎重に行ってください。
取り調べに問題があると考えた場合
大半の警察官や検察官の方は,職務に真面目で,取り調べも法律に従って強引なことをしないと思います。
しかし,過去の判例の中でも,残念ながら一部の警察官や検察官の中には,脅迫的な方法や詐欺的な方法により自白を強要し,供述調書を作ろうとすることがありました。
被疑者自身の自白内容の供述調書については
強制による自白
拷問による自白
不当に長い抑留,拘禁の後の自白
本人の意思に基づかない自白
に基づく場合は法律で無効となるとされています。
しかし,これらの事情に該当することを証明しなければなりません。
そこで,取り調べに問題があると思った場合は,
直ちに弁護士に相談する
なるべく詳細にメモ書きを残す
などの対応が必要となります。
お金があれば筆記用具は拘置施設内で購入することができますので,もしも問題があると思った場合は上記の対応を検討してみてください。
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