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D行方不明者に対する立ち退き手続

D行方不明者に対する立ち退き手続

 これまで述べてきたお話はあくまで相手方の行方が分かっており,通知や裁判所からの連絡が相手方に届く場合のお話です。

 

 賃貸借で問題となる案件の中には,借主が部屋に物を置き去りにしたまま行方知れずになるケースもあります。
 そこで,ここではその場合の手順について説明します。

契約解除の段取り

 賃貸借契約は,いなくなってしまったというだけでは消滅せず,相手方に「解除理由があるから解除する」という意思表示を伝えられなければなりません。

 

 相手方に連絡が取れる場合は,先に解除の通知を発送すると説明しましたが,相手方が行方知れずの場合にはこれができません。
 その場合,裁判所に対して「公示による意思表示」というものの申立をすることがあります。
 これは,裁判所が認めてくれた場合に,裁判所の掲示板と官報に意思表示を記載して相手方に意思表示が伝わったことにしてくれるという制度です。

 

 ただし,先に述べたとおり,解除通知で出て行ってくれない場合は裁判をやらざるを得ません。
 そうすると,公示で意思表示したところで物件から立ち退いてくれる見込みがない以上,結局裁判をしないといけないわけですが,訴訟手続で解除の意思表示をすることができるため,私としては「公示による意思表示」をせずに初めから訴訟をしてしまった方が手間を一つ省くことができるのではないかと思います。

 

 

訴訟手続

 それでは,訴訟をする場合にどのような問題があるでしょうか。

 

 訴訟は,原則として,裁判所からの書類が相手方に届かないと始められません。
 今回のように相手方が行方知れずの場合はどのように訴訟をするかですが,この場合は公示送達という方法をとることになります。
 この方法は,行方知れずであることを調査してその報告書を提出して裁判所が認めてくれた場合は,裁判所の掲示板で相手方に訴訟の期日等を通知して書類等が届いたことにしてしまう手続です。
 よって,行方知れずであったとしても,公示送達の方法によることによって訴訟をすることができます。

 

 そして,訴訟を行うに当たっては,必ず
相手方の部屋の明渡し
未払賃料及び賃料相当損害金(立ち退きまで部屋を占拠していることに伴う損害金)
の請求をして下さい。
 相手方の立ち退きの請求については本来の目的であるためいうまでもないですが,未払賃料等の請求を入れる理由については次の項目でご説明をします。

強制執行

 訴訟手続を行って勝訴判決が下された後は,この判決に従って強制執行をすることになります。
 この強制執行手続によって部屋の明渡しを受けられるわけですが,ここで問題になるのは部屋の残置物です。
 どういうことかというと,明渡しの判決はあくまで物件の明渡しを受けられるものであって,残置物は他人の所有物だから勝手に処分できないのです。

 

 では,残置物を処分するためにはどうすればよいでしょうか?
 そこで,生きてくるのが未払賃料等の請求となります。
 すなわち,未払賃料等に関する判決は「お金を支払え」というものですが,この強制執行とは預貯金の差押えや物の競売ということになります。
 そして,今回のような場合に部屋の明渡しの強制執行とあわせて,未払賃料等に基づく動産執行というものを申し立てることによって,残置物をお金に変えてしまってなくすことができるようになります。
 今までの経験では,大半の事案で,強制執行を申し立てた人が残置物をまとめて数万円で買い取って終わりにするというやり方をすることが多かったですが,処理方針は事案によると思います。

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