平成16年も、終わろうとしている。
アテネオリンピックや、大リーグでのイチロー選手の快挙など、感動的なニュースもあった反面、度重なる自然災害(被災者の方にお悔やみを申し上げます)や、社会の変動による犯罪の多発など心が痛むことも多かった。
当コラムの本題のひとつでもある、市町村合併については、「進展中」といった表現が正しいかと思われる。
当コラムを開設した、1年半ほど前には、「全国市町村数は、現在3200。これを1000程度にする」のが政府与党の目標とされていた。
少し前のデータになるが、本年11月半ばの共同通信社の調査では、現在数3012、18年3月末見込みでは、1762である。
18年3月末というのは、17年3月までに合併協議を終え知事に申請をし、その後1年間で合併準備をし、合併にこぎ着ければ、特例法の優遇措置が受けられる最終期限である。
昨年の今頃ではこのような数字は予想されなかったが、地方交付税の大幅縮減により、一気に財政危機に陥った市町村がいかに多かったかをこの数字が説明している。
この調査で減少率が高いのは、大分県の58から17、秋田県の69から21、愛媛県の51から20などである。逆に、少ないのは東京都で、39から39で変わらず、神奈川県は37から34、大阪府は44から43、愛知県は87から63と、と地域性を反映したものとなっている。
来年度に向けての三位一体改革は、際だった点もないまま玉虫色に決着し、注目は地方財政計画に移された。
この地方財政計画については、総務省から概要が発表されており、「総額、地方交付税とも前年度とほぼ変わらず」という表現がされているが、これに騙されてはいけない。
そもそも、地方交付税は、数種類の国税のうちの各何%かを寄せ集めたものである。
したがって、その総量は自ずと決まっている。
合併市町村への優遇措置として、「普通交付税に算入・特別交付税措置」というものがある。
これは、昨年度はあまり全体的に影響がなかったが、18年度、19年度とその比率は上昇することは間違いない。
決められたパイを取り合う中で、1順目にとっていいグループがあるので、2順目には残りが少ないのは必然である。
各市町村とも、それぞれの考え方や事情があると思うので、「合併しなくて損しましたね」とは言えないが、どう考えてもそういう現実が待ち受けている。
以前、「西尾思案」の中で、「補完(=窓口業務のみ行う市町村)」という考え方があったが、実際そういう市町村が出て来かねないのではないか。
市町村合併を「国の押しつけ」と考える向きもあろうが、今に至っては「国で取るべき施策」という感じになっている。
自前の収入が、1割、2割の小規模町村は、とりあえず合併して、何とか体力を温存するしかない。
また、逆に、さらなる強制的な合併まで待つ手もあるだろうが、それまでに周囲が合併を済ませている場合は、前出の「補完」も覚悟しなくてはならないだろう。
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今年も、1年間お世話になりました。
途中、URL変更により、一時期中断いたしましたが、何とか継続することができました。
仕事場において、あるいは酒場においてご教示いただいた皆様に感謝いたします。
「法施(ほっせ)の徳」と言う言葉があります。
これは、例えばお釈迦様の教えなどを、人に説くと、法の理を人に伝授することにより、徳を積めるという考え方です。
私は、少しでもいい世の中にしたいと、日々考えて暮らしています。
それには、まず勉強です。
勉強といっても、それほど堅苦しく考えることはありません。
新聞を読み、メールマガジンを読み、ホームページを見て、その内容について、人と話す、意見を聞くだけで、ずいぶん自分の血となり、肉となります。
それを、最初は受け売りでもいいから、他人に伝えていく。
人間は、知らない単語は割と聞き流しますが、知っている単語は受け入れます。
これと同じく、少しでも多くの人に、自分が知ったことを知らせていくだけでも、十分世の中は変わっていくのではないでしょうか。
来年は、皆様方と私と、日本と世界にとってよい年となりますように。
本年1年間、ありがとうございました。
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