平成17年が明けた。
2月の住民投票を前に、各市町村では、住民説明会が開催されていた。
参加者は、予想外に大して多くなかった。
住民がさほど興味を示していない部分もあるかもしれないが、今回の合併については、地元紙が紙面にコーナーを設け、連日ほぼ1面を使って報道していたので、参加しなくとも十分内容を把握できているといったところが正しいだろう。
一部から反対の声はあったが、概ね県民には今回の合併は受け入れられている ようであった。
もともと中央への反骨精神の強い土地柄である。
戦国時代の一時期は、周辺一帯を占領していたが、中央からの連合軍により、
再度元の土地に封じ込められ、その後は中央から送り込まれた領主に治められた歴史を持っており、「道州制導入時は、他県と対等かそれ以上に」というS知事の言葉は、少なからず県民の血に眠るDNAに火をつけることとなったのである。
住民投票が明日に迫った日、S知事のインタビューが行われた。 「今回の投票で賛成多数ならば、地方分権の扉が一段と開かれることとなりますが、どうお考えでしょうか」と切り出された。
これに対するS知事の回答は、ふるっていた。
私は、なにも地方分権大賛成ではありません。いや、むしろ反対派かもしれない。
そもそも、道州制にしても、国・県・市町村の3層制が問題ということで考えられた部分もあります。
私は、このような国と地方の垣根を取っ払うのもいいんじゃないかと考えています。
公務員が国家に一元化されてもいい。
給与制度もひとつでよくなるし、新規採用職員は、まず今の町村役場のようなところに行かせる。山間部、過疎地で大いに結構。
将来を考えると、若い頃の2、3年はそれくらいやってから、それぞれの専門分野に進んでもいいのではないかと。
現在の霞ヶ関の中と、末端の町村役場では、同じ行政職でも、まったく異なる職種といったほどの差があります。
中央勤務のときは中央で、地方勤務のときは地方でそれぞれやるべき事を考えればいい。 当然、この中で「地方間の競争」というのも出てくる話です。
現在の町村役場のように、地元の職員が必要なら、それもそれで制度を考えればいい。
省庁間の人事異動も自由です。少なくとも、今みたいに縦割りで硬直している状態からは抜け出せるでしょう。
誰しも入省当初は族意識のようなものはないはずです。これからはそういった意識にとらわれない職員の育成が必要です。
また、こういった制度を、全国的にひとつのところでまとめようとすると、必ず偏りが生じてくる。
そこで道州制の役割、地域ごとに意見を集約する役割が出てくればいいんです。
見識の広い職員になれば、政界に出ても偏ることはないでしょう。
「地方が無駄遣いをしている」というなら、すべて国にすればいいんじゃないですか。
今は、国道、県道、市道と、全部管理者が違います。一元化すれば、職員も減る。庁舎も少なくてすむし、国道と県道が交差する工事のときに、いちいち協議
なんてしなくていい。
河川や海岸もそう、公共施設の面にしてもそう。中で1級、2級と区分すればいいんです。
公共施設は管理者を極力減らす、似たような外郭団体は統合する。そういった努力はいくらでもできる。
役所に金がないなら、少しでも金を集める方法を考えなければいけない。当県では、来年度からホームページに、民間企業の広告バナーを取り入れます。
次には、庁舎の外壁に企業の広告板をかけるとか、同じく公用車に企業のステ
ッカーを貼るとかも考えています。 もうそれぐらいしても、いい時代ではないでしょうか。
あとは、透明性と公平性、地域による偏在をいかに防ぐか。
これに、つきますね。
(了)
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