合併物語(5)  (2004.12.06)



 「日本一貧しく豊かな県」

 今回の合併説明にあたり、S知事が掲げた言葉である。
 明確な回答=正しい回答 ではないかもしれない。
 S知事は、反対派も含め、すべての県民に対し、自分の考えを述べた。


 確かに、一時的に膨大な余剰人員を抱える。
 できれば、職員の皆さんには定年を3年、自主的に引き上げてもらいたい。
 これは、新市だけでなく、県の職員も同様である。
 これが実行に移されない場合、新市と県の財政が、「健全」と言われるレベルになるまで、職員給のカットが必要になるし、住民サービス、住民負担にも影響が出るかもしれない。
 幸い、いわゆる団塊の世代の方々の退職が迫っており、一時的に退職金の負担はあるが、10年後には概ね適正に近いレベルにはなる予定である。

 「本県は日本一自己完結に近い地方自治体を目指す」 が、私の構想である。
 食糧自給率も高めるし、福祉政策はこれ以上ないまでの効率化を図る。
 教育に関しては、学費を日本一安くするとともに、最大限の努力をして、教育レベルを上げる。
 一家の年収が500万、400万でも、二人の子供が最高の教育が受けられる環境を整備したい。
 住民負担も決して安いとはいえないかもしれないが、その分「最終的には県が、市が」ではなく、支え合いの力によって安心感をえられるよう、十分なセーフティーネットの仕組みを構築する。

 県民の皆様は、これは自分たちだけの問題だと思っているかもしれないが、そうではない。
 本県が、新しい時代の見本となることにより、必ず後から他県がついてくる。
 日本全体でこれをやれば、きっと日本は再生する。
 それには、まずは地方から。
 いずれ、道州制も導入される。そのときに、人口1万人に満たない町村と、だだっぴろいだけだが100万人の市と、どっちがより対等に他県、他の市町村と話ができるのか。
 また自治の成熟度で言えば、何もしなかったところと、最大限の努力をしたところと、どっちが上だろう。
 合併すれば、本県、新市が道州制の中心になる可能性は十二分にある。

 最終的には、住民投票により、県民の皆様に意志決定を行っていただくこととなっている。
 今回の市町村合併は、本当に、皆様のお住まいの地域に関する身近な問題であることは確かだ。
 と、同時に本県と、大げさに言えば、日本の将来を確かめるものと、私は考えている。
 単純な問題ではないので、十分熟慮のうえ、ご判断をお願いしたい。


(次回につづく)

                                     
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