合併特例区について(2) (2004.10.11)



 この合併特例区などの制度は、「議会議員の在任特例」とも関わりが深い。
 ともに、「地域の声を行政に届ける」ものとされているからである。

 議会議員の在任特例を合併後1年とし、その後1回目の選挙(任期4年)で選挙区を設置したとする。
 そうすれば、5年間は、地域の声が行政に届くこととなる。
 合併特例区の設置期限は5年であるから、同等となるため、「設置は必要ない」ということにもなる。
 在任特例を適用する理由には、「合併して面積が広くなると、役場から遠い地域の声が行政に届かなくなるかもしれないという不安を持つ住民のため」といった、合併特例区の制度制定理由と全く同じ内容となっていることがほとんどである。
 合併の一体性を阻害する合併特例区を設置するよりは、議員の取り扱いで融通を利かしたほうが、まだましなのかもしれない。

 在任特例については、適用した場合、議員経費が多大となるので、住民からの批判も多い。
 全国で議会の解散請求が相次いだこともあり、今では長くても1年程度(最長2年まで可能)であろう。
 では、なぜこのようなことが合併協議会で決められるかというと、議員の了解が無ければ、合併が成立しないということに尽きる。

 合併協議会において、1度の協議で在任特例の期間が決まる場合もあるが、これは、ただ合併協議会に出して決定されたというようなものではない。
 合併するには、市町村議会の議決が必要であるため、特に「庁舎の位置」、「議会議員の定数・任期」の項目で、議会すなわち全議員の了解を取っておく必要がある。
 協議会へ出るまでは、水面下でかなり調整が行われるのである。

 しかし、考えようによっては、合併特例区に軍配が上がるかもしれない。
 合併特例区の委員は原則無報酬である。
 合併特例区協議会を議会に近い役割にすれば、議会議員が議員数をより削減できる可能性もある。
 今すぐには制度的にはなじまないかもしれないが、近い将来、議員の無報酬化は、必ず浮上してくる問題であろう。


                                     
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