合併特例区について (2004.10.04)



 先週、10月1日に、市町村合併により、全国で新たに23市町が誕生した。
 これらは、平成15年初めの法定協議会設立ラッシュの際にできた合併協議会で、比較的協議がスムーズに進んだところ、またはそれ以前から準備していたところが大半であろう。
 来年3月の合併特例法期限に、「ゆうゆうセーフ」組である。

   ◇   ◇   ◇

 以前に一度書いたが、地域審議会、地域自治区、合併特例区について、今回は、簡単に説明してみたい。

■地域審議会
 「旧市町村区域(主に合併市町村のうち小規模町村)の住民の意見が行政に反映されないのでは」という不安解消のための制度。
 地域協議会は、新市町村長の諮問機関であり、諮問のあった事項について、協議して答申する機関で、また、新市町村で必要と思われることについては、一方的に意見を言うこともできる。
 これらの答申などに強制権がないため、以前から「意味がないのでは?」と言われていた。
 
新しい市町村
旧A市区域 旧B町区域
地域審議会 地域審議会


■地域自治区
 地域審議会では、不安が解消できない(?)と見て、次に出された制度。
新しい市町村
旧A市区域 旧B町区域
地域自治区(事務所あり) 地域自治区(事務所あり)
事務所長(OR区長) 事務所長(OR区長)
地域協議会 地域協議会

 地域協議会と違う点は、事務所が設置され、「長」がいることである。
 また、市町村の予算の一部ではあるが、予算を執行する(予算作成権限は無し)。
 地域協議会が、地域審議会的な役割を果たす。

 この制度は、市町村合併をしない場合においても、実施することができる。
 この場合、期間に制限はなく、以前の「役場の支所」が復活するような感じである。

■合併特例区
 真打ち登場である。
新しい市町村
旧A市区域 旧B町区域
合併特例区(事務所あり) 合併特例区(事務所あり)
区 長 区 長
合併特例区協議会 合併特例区協議会

 うえの地域自治区と異なる点は、主に次の点である。
 ・予算を作成することができる
 ・法人格を持つ
 ・区の規則を作成する

 なかなか独立性も高く、いい制度のようであるが、「合併する」のである。
 設置上限は5年であるが、新市町村の一体性を損ねる可能性は、十二分にある。

 地域自治区、合併特例区とも、区の名称は旧市町村名を冠することとなっている。
 旧市町村名と同じ大字がない場合、慣れ親しんだ市町村名が使用されなくなるという不満にも答えられる制度である。


 簡単に説明すると以上のとおりとなる。
 感想を言うと、地域審議会程度ならまだしも、多数市町村の合併でない限り、あとの2つはいらないのでは、と思う。
 地域自治区については、合併時でなくとも後々制度導入が可能である。
 住民の行政への参画というのは、今後の地方自治体の課題でもあるので、機が熟してからこちらを導入することとし、合併時の「住民の意見が届かない」という不安には、多くの場合特例により在任する議員さんたちに解消していただいてはいかがなものだろうか。
                                     
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