指定管理者制度 (2004.09.27)



 まず、前回のコラムの補足である。
 大体のことはおわかりかと思うが、合併特例法により、合併時の市町村職員の身分は保障されている。
 以下、法の抜粋である。

(職員の身分取扱い)
第9条 合併関係市町村は、その協議により、市町村の合併の際現にその職に在る合併関係市町村の一般職の職員が引き続き合併市町村の職員としての身分を保有するように措置しなければならない。

   ◆   ◆   ◆

 「指定管理者制度」という言葉をご存じだろうか。
 地方自治法の改正により、昨年9月からスタートした制度である。
 これは、これまでは保育所や公民館、公園、病院といった公共施設について、 その運営については、自治体が直営で行うか、自治体が出資する法人、あるいは公共的団 体(農協、自治会など)に自治体が委託することになっていたが、委託先について民間業者も含めることとしたものである。
 自治体が民間分野に参入している事業となると、ほとんどが採算よりも住民サービスに視点を置いている(こういえば聞こえはいいが)ため、赤字経営のものが多い。
 財政的に余裕がある時代なら特に問題はなかったが、今やこういった放漫経営的な部分については、「単なる予算の無駄使い。見直せ」ということになる。
 従来の制度においては、会社組織と違い、経営状態が直接組織の存続に関わらないため、予算の垂れ流しになってしまった点で、大いに問題はあったと言えよう。
 納税者から見れば、外部委託推進すべしである。

 先週のコラムの続きのような感じになるが、山梨県が公社形式で運営していたレジャー施設にこの制度を適用し、公社職員45人は公社解体により退職になったとの記事が掲載されていた。  元公社職員は、常勤から登録制となり、年金や健康保険は全額自己負担になったと のことで、タイムリーな記事に我ながら驚いた。
 山梨県の担当者は、「赤字経営施設のスリム化なので、一定の離職者はやむを得ない。就職支援は手厚く行っている」とコメントしていたが、いやはや、明日は我が身である。

 自治体の業務の民間委託については、今までは検討段階で片づけられていた感があるが、昨今の財政事情により、状況は一変している。この制度の活用を含め、自治体業務全体において、NPOを含む民間への業務委託は、今後ますます加速するであろう。  
 ただ、自治体にとっては、ジレンマもある。  ここ数年、予算は激減しているので、職員一人あたりの業務量は確実に減少している。しかし、 実際のところ、職員はすぐには減らない。
 今すぐに民間委託を進めると、「一方でさほど忙しくない職員の人件費を支出し、さらに一方で委託費の支出」と、何をやっているのかわからなくなってしまう。
 外部委託と平行して、団塊の世代の退職に合わせ、採用数を調整していくなど 、中期的な人員計画を策定することが不可欠であろう。
 しかし、先行きが不透明な市町村合併の状況や、道州制への動きが活発化する中、各自治体の長にとっては、こちらも頭の痛い問題である。


                                     
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