市町村がいくつか集まって設立する特別地方公共団体として、一部事務組合というものがある。
この一部事務組合というものは、大まかに2種類ある。
ひとつめは、周辺地域で組織するもので、例えば、ゴミやし尿の収集及び処理、介護保険認定審査などを行うもので、通常「○○地区衛生事務組合」などの名称である。
もう一方は、県下全市町村(あるいは全町村)が参加しているもので、職員退職手当組合、公務災害補償組合などといったものがある。
県内で市町村合併が多数行われた場合、後者はほぼ存続するものばかりだが、前者の中にはそうはいかないケースもある。
市町村合併は、かねてより「付き合いの深い」市町村同士で行うケースがほとんどである。
よって、当然ながら、一部事務組合を組織する市町村と、法定協議会に参加する市町村が重複する場合は多い。
一部事務組合は、参加各町村から派遣されている職員とともに、一部事務組合で雇用された(いわゆるプロパーの)職員も多少はいる。
設立時期には、このような合併の動きは考えようもなかったので、多数のプロパー職員を抱えている組合も多い。
組合構成市町村同士による合併が成立した場合は、他に構成市町村がある場合を除き、その一部事務組合は解散(消滅)する。すなわち、プロパーの職員も失職してしまうのである。
これらの職員は、各市町村が職員として、受け入れなければならない。
合併し、組合はなくなっても、業務は存在するわけであるが、ただでさえ、職員が同規模団体の定数より多い状況となる市町村にとっては、頭の痛いところである。
また、これらの組合職員は、退職金の掛け金を、通常の職員共済組合ではなく、民間でかけているケースもあり、この場合一度退職金を受け取らななければならない。
退職金は、勤続年数によって大幅に違うので、この点では非常に厳しい。
合併に賛成する気にはなれないだろう。
これらの組合員を、「市町村で受け入れなければならない」と上述したが、これには法的根拠はない。
一度、国会の何かの委員会で、質問に対し、総務省の幹部が、「(役場の)一般職員に準じた取り扱いとされたい」と発言した程度のものである。
しかし、一部事務組合は市町村同士が出資してできた団体であり、組合の職員は市町村役場の職員と同資格程度といえるので、同等の身分保障は必要だろう。
このようなことは、最近不要論が叫ばれている土地開発公社の職員についてもいえる。
「合併を機に解散を」というケースもあるだろう。
組合や公社の職員にとっては、とんだ合併の余波である。
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