MILFORD TRACK (ミルフォードトラック)
   ”the finest walk in the world”

ニュージーランドの数あるトレッキングコースとして最も有名。Milford Track Guided Walk 社
が出しているパンフレットには「フィヨルドに代表されるニュージランドの自然を行くこの道は
長年「世界で最も美しい散歩道」と形容されてきました。」とある。山の本やニュージランドを
紹介する本などにもその素晴らしさが載っていて見るたびに歩いてみたいと願う気持ちは
大きくなっていた。

ミルフォードトラックとはニュージランドの南島の下の方にある大きな湖・テアナウ湖とミル
フォードサウンド(氷河により削られU字谷が出来それが沈んで形成されたフィヨルド(Fiord)
でタスマニア海に面している。)を結んで開拓された道で33.5マイル(約54キロ)ある。こ
れを4泊5日(実質的な歩行は3日間・ガイド付き)で歩くのである。



入山は自然を守る為に予約・定員制になっていて決められた行程に従って歩く。そして歩くに
は2通りがある。個人トレック(Independent Walk・3泊4日)とガイド付き(Guided Walk・4泊5
日)で私達夫婦は後者で歩いた。こちらは多少お金がかかるが4泊の山小屋では個人用の
ベッドや温水シャワーが有り、食事にいたっては3コースのホテル並みの料理が出される
のである。しっかり食べてグッスリ休めて次の日のウオーキングに備える事ができるという
利点がある。 ここを歩く為に日本を含め海外から多くのwalkerがやってくる。そして5日間
行動を共にするのでお互いに仲良くなり友達も出来る。

DAY 1         2007年3月8日〜12日

Queenstown to Glade House
       
(クインズタウン〜グレイドハウス)

1.6KM/1MILE, 20MINUTES WALKING

9:30
 集合場所(ステーションビル前)で点呼。前日の午後4時に簡単な説明を受けた
後ビデオでコースを見る。山小屋で使うシーツを渡されあと必要ならばリュックサックや
レインウエアーを貸してくれる。
  

9:45  ガイドより点呼を受け名札を
貰い胸に着ける。これより全員はお互い
に年齢、性別など関係なく first name
で呼び合うことになる。

車窓から見る山々はそんなに高くない
のに大きな樹が生えてなく森林限界の
所を走っているようだ。標高は低いが
それだけ気象条件が厳しい事が分かる。
羊や牛、馬の他に鹿が放牧されている
のが珍しいと思った。

12:00:  テアナウ(Te Anau) 着
ここのホテル&ヴィラで昼食。ウエールズ
の夫婦(出身はGreat Britain と言いイギ
リスとは言わない)とアメリカ人の新婚夫
婦と私達夫婦の6人が同じテーブルで食事
をする。まずは名前や出身地などの自己紹
介から会話が始まる。

昼食後集合写真撮影。これから5日間
共に行動をするみなさん。43名の
walkerと4名のガイドさん。オーストラリ
ア人が一番多くその次に14名の日本人
(個人参加は私達と新婚夫婦そして一
人参加の二人であとはグループで参
加)、あとはアメリカ人、イギリス人、
ニュージランド人と多い順に続く。夫婦
参加がほとんど。ガイドの一人の「スー
ジー」は日本語を話す。 

すでに54キロを歩き終えた前のグループの一行とここで出会ったので様子を聞いてみ
るとそれはそれは大変だったようだ。大雨になり腰あたりまで水につかりながら渡渉を
何回も繰り返したようで天候には恵まれていなかったと語ってくれた。実は昨日私達は
オークランドからクイーンズタウンまで国内便で飛ぶ予定であったがクイーンズタウンの
空港が悪天候の為閉鎖中で飛べないと知らされもう少し南にあるダニーデンまで代わ
りの飛行機で行きそこからバスでクイーンズタウンまで行かざるを得なかった。その結
果5時間以上も余分の時間がかかりその前日のブリーフィング(打ち合わせ会議)には
出席できなかった。今日歩き終えた人達はどうやらそんな悪天候の中を歩いてきたよう
だ。今日は快晴で青空も見えていたがガイドからは「天気予報によれば後半に崩れ
る模様」と知らされていた。後で知った事だが悪天候の為政府観光局から途中で中止
を言い渡され全員ヘリで戻った事があったようだ。さて、私達のこれからの5日間の天気
は一体どうなるのでしょうか。日本から関西テレビが取材に来て、タレントの山本太郎が
このグループと一緒に歩いたらしい。

前もって上の乗船切符が渡され
る集合写真の後バスに乗りテア
ナウダウンズへ。(左が乗船場)

1:30: 船着場着。テアナウ湖
を1時間あまり北上する。この船
にはIndependent Walker も一緒に
乗っていた。甲板でドイツからの
女性、デンマークからの若者と少
し会話を交わす。

 クインテンマッキノンの記念碑

ミルフォードトラックの開拓をした
人で初めてのガイドになる。しかし
ある日捕鯨用のボートに乗り湖の
端に向けて出発し、それ以後二度と
姿を現す事がなかったという。これ
から歩くトラックの最高地点のパス
(峠)は開拓の労を讃えてマッキノ
ンパスと名付けられている。

3:10
テアナウ湖北端のグレイドワーフ到着。

下船する前に桟橋で消毒液の入った
ポリバケツの中に靴をつけて森に入る。
細かいところまでニュージランド特有の
この自然を守ろうとしている努力が伺
える。

   ウオーキングの出発点

下船して森に1歩入ったところから
33.5マイルのウオーキングが始ま
る。一日目のロッジ(小屋)まで1.2
キロであっという間に着く。

3:30
Glade House (グレイドハウス)着

クリントン川が前に流れている
とても開けたところにある。
到着後ザックを置いてアフタヌーン
ティーで少しくつろぎ、全員でネイ
チャーウオークに出かけた。部屋は
2段ベッドの8人部屋で6人が入った。

森の中を歩きながらガイドが立ち止ま
っては植物などの説明をしてくれた。
これはその一つでニュージーランド特
有のシダである。グレイドバーンという
川まで行きそこからは自由に小屋に帰
った。

ロッジに戻りシャワーでスッキリする。
相部屋(Shared Room) は共同トイレ
とシャワーで個室(Private Room) は
トイレ、シャワー付である。シーツは
各自最後のロッジまで持っていくことに
なる。

5:30にロッジのバーが開かれビールや
ワインなど飲む事ができる。アルコール
類の支払いは最終日にまとめて清算され
る。コーヒーやジュース、クッキーなどは
ロビーで何時でも飲む事ができる。

6:15: 夕食。少し前に食堂に行きビールを買ってテーブルについた。オーストラリアの若夫
婦とスコットランドの女性(夫婦参加でトイレ休憩の時に話をした人の奥さん))と食事を共に
する。オーストラリアの若い奥さんはとても話好きの陽気な人で日本の歌「お江戸日本橋」
を歌いだした。一番目の最後まで歌えていたので驚いた。良く覚えているもんだと感心も
した。このスコットランド出身の夫婦もそうだがイギリスと言わずそれぞれの昔のお国の魂
を持っているんだと感じた。

夕食のメニューは魚か肉を選べる。前日に調査用紙が回ってきて後でガイドが確認に来て
くれる。肉、魚は日によって違うがチキン、ビーフ、ベネソン(鹿)、ラムの4種類で魚はタラ
やサーモンなどであった。最初にスープが出され、次にメインの肉か魚、最後にデザートが
出る。この日はアイスクリームとパイ。量も多い。少し気の毒に感じたのは4人のガイドがウ
エイトレスになりテーブルへ料理を運んでくれていた事だ。でも最後の晩だけは違って
いて私達のテーブルにも一人入り一緒に食事をする事ができた。(鹿の肉が出された時
鹿が放牧されている理由が理解できた。)

食後はコーヒ−を持ってロビーへ。最初の夜は自己紹介とお国の歌を披露することになっ
ている。一番目はオーストラリアの人達。自己紹介の後「Walzing Matilda」を歌う。2番手は我
々日本人。日本語での自己紹介にはガイドの一人の「スージー嬢」が翻訳してくれていた。
歌は相談し「故郷」を歌った。後はアメリカ、イギリス、ニュージーランドの順に行われた。

自己紹介の後はスライドを見ながら明日のコースの説明がある。日本人のグループに対し
てはスージーが日本語で説明をしてくれるので言葉がわからなくても安心してこのウ
オーキングに参加できる。

10:00: 消灯。部屋の電気が消えるので懐中電灯があれば便利。トイレには灯りがある。
初日で色んな事が次ぎ次あり多少興奮がまだ覚めやらず私はなかなか寝付けなかった。
ふと、夜空には星が一杯出ているだろうと思い、出てみるとそれはそれは見事と言うほか
ない。真っ暗闇の中、空一面に星が輝いている。その美しさ、輝きの明るさはまさに真夜
中の天体ショーであった。

To Day 2