鳥海山
標高:2236M 所在地:山形県
登山日: 2023年8月2日 快晴後時々ガス 単独行
コース: 鉾立登山口(5:08)→(6:29)賽の河原(6:33)→(7:07)御浜小屋(7:20)→
(7:37)御田ケ原→(7:50)御田ケ原分岐→(8:10)七五三掛(8:18)→(8:34)千蛇谷・
外輪山分岐→(8:47)雪渓トラバース→(10:20)御室小屋(10:30)→(10:50)山頂・新山
(11:00)→(11:20)(御室小屋)(11:40)→(13:40)八丁坂→(14:22)御浜小屋(14:40)→
(16:20)鉾立登山口 (歩行時間:10時間12分、 休憩:約1時間)
標高1820M・七五三掛に到着。時間は8時10分、休憩していたのでまあまあ時間通りだ。台地上になっていて特に何もない所。 ここは以前は千蛇谷コースと外輪山コーストに分かれる所だったが谷に下
るコースが一部崩落したことから通行止めになっていて、う回路として外輪山コースを少し登った所に
谷に降りる道が作られている。
私は千蛇谷コースを取り雪渓のトラバースを目指すが、その前に右脚の太ももの痙攣を押さえるた
めの薬を飲む。81歳になった今、数年前から3時間程登った頃に必ず右脚の太ももに痙攣が起こる
持病のようなもの。先ほど少し異変を感じ早い目の服用とする。これでこの先に痙攣が起こらねば良
いと願うが、大抵は数回発症する。起こるたびにしばらく休憩して患部をマッサージ。その後ゆっくりと
立ち上がり右脚で踏みしめることが出来るようになれば歩き出す。登りでも下りでも同じことが起こる
万一時間をかけても痛みが収まらない場合はその後の登山は中止し、下山となる。昨年に登った朝日
岳(1870M)の時がそうで、山頂真近の所で残念ながら下山せざるを得なくなる。 今でもその時の悔
いが消えない。
今年最初の百名山は、残り9座の中でどの山から登ろうかと考えていた。北海道と東北は
3座ずつあるのでゆっくり車で廻ることにし、まずはこの鳥海山と決める。8月初めの晴れの日を選び
飛行機、レンタカー、宿を予約する。
8月1日 午後伊丹から秋田空港へ、レンタカーでブルーラインを走り平山荘へ、泊。夜は満月が出
て登山日の快晴が確実となる。翌2日、鉾立登山口出発。ここには大駐車場、ビジターセンター、展
望台などがあり多くの登山者で賑わいをみせている。
雪渓トラバース途中から見る山頂
アイゼンなしで渡れたが、山頂がガスに覆われ出
した。先を急がねばとの思いで行く。
新山(鳥海山)の頂にて
彼の後をついて登って行き何とかして無事に山頂に立つことが出来た。思わず彼と握手して、
お礼を述べる。四つん這いになりながら這い上がりの悪戦苦闘だ。本当に嬉しい!途中で痙攣な
どもあり、この新山への厳しい登りなどどこかで諦めねばならないかもしれないと覚悟もしていたの
だから喜びもひとしおだ。「よくやった、よく頑張ったぞ!」と自分を褒めた。
この辺りで見つけた高山植物
ホタルブクロ
行く手に登山口が見えてきた、そして無事に下山完了!鳥海山を登り切り大いに達成感を味わ
う。残している百名山でこの山と羊蹄山が今の私には厳しい山で、その一つをクリヤー出来たの
だから。まずまずいい天気に恵まれ、満足できた山歩きだった。92座目の百名山。
今回も山での人の温かさに触れた。 下って来たのにわざわざ私を山頂まで導いてくれた青年
の事は忘れられない良い思い出となろう。 これまで山で出会った人の中で今でも忘れられない人
が何人かいる。 この人達とは再会したいと思う。 山は、特に単独行の時、人との良い出会いがある
ようだ。
駐車場を後に今日の宿「白滝旅館」へ。秋田空港へ戻るブルーラインの終りの所にあるいい宿。翌3日、
帰宅。
千蛇谷を下り雪渓を渡り七五三掛から小浜神社、そして八丁坂まで下りてきた。下りでも2度
痙攣があったが、ここまでくれば後はもう大丈夫だろうと少し気持ちが楽になる。
山頂は岩ばかりでゆっくり座れるような場所もなく、ガスも覆いだしたりしていた。水分補給を
した後下り始める。下りの方がより危険を感じる。一歩踏む所が悪ければバランスを失い堕
ちてしまいそうだ。慎重に、慎重になんとか無事に御室小屋まで下山する。ここで食事とトイ
レ休憩。 さあ、下山だ!もう少し若ければ外輪山ルートで下ったであろうと少し残念な気持
ちにもなる。
そして山頂に向かう道が現れ、まるで早く来いと私を待っていてくれている様だ。まだ8時前、これなら予定どうりに着くだろうと下り始める。 正面に新山を望みながら下って、鞍部の御
田ケ原分岐で鳥海湖からくる道と合流する。
7分ばかり行くと御田ケ原、視界が開け、山頂はより大きく見え、あと3.6キロとある。
ウサギギク
ハクサンフウロ
暫く登っていくと左に日本海が広がっている。御浜小屋近くで標高はほぼ1700M..
登山口、標高1150M
鳥海湖を右下に見て左前方を眺めると山頂をしっかりと確認できる。目指す頂はまだまだ遥か先だ。
そして賽の川原に着く。 例年ならば雪渓が残り、給水できるようだが、この夏の暑さに枯れ
あがり一滴の水もない。 真夏の太陽に照りつけられ先を急ぐ。
こんな大きな溶岩の塊が登山道に転がって?いる、あのカルデラ鳥海湖から爆発してで飛んで来
たのだろうかと思いを馳せながら登る。
やっとのことで山頂直下の御室小屋に到着。 休憩する間もなく小屋前にザックをデポして山頂を
目指す。 ここから新山の山頂への登りは溶岩の岩山をよじ登ることになる。 目の前には大きい
岩山が私の行く手を阻んでいるように見える。
この谷に下る道はかなり荒れていて丸太や鉄の杭などで補強されているが、坂が急な上
わたしは一苦労どころでなかった。
分岐点からややきつい登りの八丁坂が始まる。
とにかく登り始めた。こんな岩が私の前に立ちはだかりなかなか手強い。この辺りで小さな動
物が現れた。私を見ても逃げようとしない。手を少し差し伸べてみるとこちらに少し来たように
思えた。カメラでその姿を撮ろうとしたが逃げられた。諦めて登っていくと再び現れるが、その後
は警戒しているようだった。体は細長く6センチ位で形は丁度イタチに似ているようで、オコジョ
です。
。
登山道は矢印で示してあるが、岩と岩の間を縫うように登って行かねばならずとても迷いやすい
何度も立ち止まり行き先を確認する。10分くらい登った所で、登山道は一旦真下に下り、その前に
再び大きな壁が待ち構えている。ここまで来て引き返すわけにもいかず、この先どうすべきかと思案
していた。その時一人の登山者が登って来て同じところで止まる。彼もこの状況に驚き、暫く会話を交
わす。彼は71歳だと言い、私の年齢が81だと分かり驚く。二人でこの道が本当に正しいのかと心配
していた時、若い青年が山頂から降りてきた。我々二人が山頂へのコースで心配している事を知り、
そして私の年齢に心配にもなり、なんと驚いたことに山頂まで案内してくれることになった。どうやら難
しいコースもあるようで、登りやすい道を選んでくれたようだ。
谷はそれ程の勾配もないが岩や溶岩の道でひたむきな登りがつづく。ガスが山頂を覆った
り晴れたりしている。今のうちにと立ち止まり写真に収めるが、カメラを用意している間にガ
スがかる。御室小屋まではまだ1時間以上かかりそうだ。
これより登山道は、最初は割合と歩きやすいこのような石段を歩く。しかし道の石は高度を増す
につれて石や岩が不規則に置かれていたり、行く手には大小の岩、溶岩の塊等もあり、私には
結構な困難を伴なった。 よく考えてみると、全く土の道は歩かなかったようだ。
登山口を入り舗装された道をしばらく登っていくと展望台がある。そこから山頂を眺める。
このコースは夏には沢山の高山植物に会えるようで、早速に「ニッコウキスゲ」が目に入った。
ゆるやかな登坂を行くと御浜神社の鳥居が見えてくる。
御浜小屋に着くと、まず目に入るのはカルデラの鳥海湖。直径約200M,水深約4M とあり、
湖の周りに雪渓などが残っていればもっと良い景色になっていただろうと、少し残念な思い。
ここでトイレ休憩して、エネルギー補給する。