本年3月末までに、関係合併市町村の議決及び知事への申請を行い、平成18年3月の合併を目指している市町村にとっては、今からが正念場である。
これらの法定協議会においては、協議項目の調整は終了しているケースが大半で、3月市町村議会での議決に向け、住民説明を開催中、あるいは準備している段階にあるかと思う。
中には、住民投票条例設置の署名集めが行われているところもあるだろう。
住民説明会資料については、
・合併する場合=法定協議会において作成されたまちづくり計画
・合併しない場合=各市町村が独自に作成
と、するのが普通である。
ゆえに、合併する場合は同じ資料であるが、しない場合については、市町村ごとにトーンが変わってしまうのである。
合併しない場合は、それぞれ独自の行革を行う必要が出てくるので、各自で作成するわけだが、あまり感心できるものではない。
会社で言う社長と同様に、市町村という自治体においては、市町村長の権限は強い。
この説明会資料にしても、最終的には、長の思いにより、そのトーンは大きく変わるのである。
ましてや、小規模町村では、直接町村長が説明する場合も多々ある。
要は、表題(自立は可能なのか)と、説明の手法である。
住民は、財政計画を見ても、数字的な部分はさほど分からない。
例えば、普通建設事業費(建設工事などに充当する部分)が今まで年間3億円で、自立の場合は1億円だとしよう。
「自立の場合は、身の丈にあった行政を目指します」ともっともらしく言う。
それはそれだが、この2億円の差には重大な意味がある。
まず、雇用面でいうと、この2億円を削減することにより、建設会社で働く雇用が減る。
同時に、建設業者もやっていけなくなる可能性がある。
連動して、建設資材の販売者なども痛手を受ける。
もっとも、1億円程度では、公共施設の維持補修程度しかできず、そちらのほうが困るかもしれない。
これに加えて、自立計画では、扶助費(福祉などに充当する部分)は向こう15年間、過去5年間の平均値だったりもする。
特に少子高齢化が進んでいる小規模町村において、今後、扶助費が現状維持などということは考えられない。
「合併しないでいいなら、したくない」が、住民共通の感情であるのはやむを得ない。
しかし、市町村は、もっと的確な説明をしなくてはならない。
後々、赤字団体に陥った場合は、住民負担は上がり、すべての事業はストップし、よけいに住民に迷惑をかけることとなる。
「あのとき、なぜもっときちんと説明してくれなかったか...」では、遅いのである。
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