先週、合併協議会の会長を務めておられる、A町長さんと話をする機会があった。
会長は、合併協議会では進行役なので、その点は大変かと思っていたが、聞くところによると、それ以外にも「私の町が主導で何かも決めようとしている」という雰囲気のないように」ということも大変らしい。
A町は、B、C町と合併を進めており、協議も最終にさしかかっている。
・反対派が、いろいろな情報を流している
・合併協議会に時間をとられるあまり、町の内部のことがおろそかになる
・合併協議会事務局に経費がかかるのと、職員を取られているのも痛い
といったことが、A町長の悩みの種だそうである。
反対派の流す情報の内容というと、
・○○町は、駆け込みで、新町では採択されないような事業をこっそり合併前にやっている
・○○町は、合併前に、町幹部とつながりの深い人間を採用した
・○○町は、合併前に、町有林を住民に分割譲渡するそうだ
などである。
合併について、総論として反論できる意見はいくらでもある。
例えば、「10年先、交付税が通常ベースになったときに本当に大丈夫なのか」ということである。
これについては、私は、楽観的な見方をしている。
まず、18年4月以降は、次回の合併論議が起こるだろう。
道州制を考えると、今回の合併でできた市町村でも、いわゆる「受け皿」となりえない規模のものが多数あるはずだ。
人口1万人とはいわず10万人、最低でも5万人程度には、再編成がなされるのではないか。
そうなると、今回の合併同様、新特例法とは別に、国も何らかの合併のための措置を講じるはずである。
さらに、役所のスリム化だ。
満額とは言わないまでも、一定の退職報奨金により、公務員全体の人員整理を実施すべきである。
これに加え、税源移譲により、地方は地方で政策立案する時代、すなわち、地方間の競争がはじまるのである。
企業誘致、観光客誘致、さらには人口を増やす政策など、自ら将来の方向性を決める裁量が今よりも上がるのである。
10年後に間に合うかどうかは微妙だが、市町村役場は、今とはまったく環境が違っていることだろう。
合併に反対する立場なら、個別にこじつけで情報を流すこともできる。
地方交付税の制度をはじめ、住民に正確な情報を伝える ことは非常に困難であるので、住民は噂に左右されやすい。
「合併にこぎ着けるのは、本当に困難」と町長が言うことも理解できる。
また、合併協議会も、かなりの費用がかかっている。
事務局運営費や、委員の旅費報酬、また、電算システムや条例の一元化についての調査委託料などで、1市町村あたり年間1000万円ほどかかっている。一般財源化された保育料などに継ぎ足しすれば、十分住民が助かる程度の額ではある。
何はともあれ、合併協議会会長職がハードな仕事であることにかわりはない。
「何より、はやく話を決めて、この職から開放されたい」という町長の言葉が印象的だった。
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