牙狼エンディングテーマである『僕はまだ恋をしてはいけない』との2枚同時発売シングル。
『僕は〜』はどちらも番組用に書き下ろした新曲であるのに対し、こちらはBEGINに提供した『優しい言葉』と1987年に発売されたアルバム『少年たちの夜』に収録されている、
『フライトナンバー62』を新再録とメイン・カップリングともにセルフカバーな1枚になりました。
『優しい言葉』
「高校教師」放送当時、真田広之さんを通じて知り合い、すっかり意気投合した縁でプレゼントしたのがこの曲。
ジョイントライブを行うにあたり、彼らのためにアルバム『LOVE IS ALL』にも収録されている『もうどこにも君の愛はない』を
書き下ろした際、BEGINの音楽が大好きだった京本さんが、是非彼らに歌って欲しい、との想いを込めて作られました。
製作にまつわるエピソードについては、2002年に出演したNHKの公録番組
「公園通りで会いましょう」とギターメーカー
ESPの京本さんサイトでも詳しく語られています。
当時は、自分ではとても歌えない、とコメントしていた京本さんですが、『牙狼 (GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜』をシングル
カットするに当たり、この時のBEGINとの演奏をとても気に入られたトライスクルのプロデューサーに
後押しされる形で、遂に陽の目を見ることになりました。
比嘉さんがブルージーなアレンジに乗せ、彼ならではの声量を活かして朗々と歌い上げたのに対し、
京本さんは柔らかくほんのりトロピカルなサウンドに乗せ、言葉のひとつひとつを大切に、さらりと切なく、時に情感たっぷりにでも全体としては優しく包み込むような
雰囲気に仕上がってます。
サビ直前の♪新しい夢がひらく のひらーくで一瞬すっと引いて波が押し寄せるように一気に盛り上げる部分が秀逸。
また、サビのお馴染みのノアさんのコーラスが、ラストのリフレインのみ、♪出会ったのさ と上からの掛け合いに
なるのがとても気持ちよく、タイトル同様心地よい調べに優しい気持ちになれる1曲です。
”まわりみちをしなければ”など歌詞のここぞというところに平仮名が使われているのも、優しい感じが強調される
隠し味になっている印象を受けます。
聴く場所や季節、などにより色んな表情を見せてくれる、聴き込むほどに味が出る大人のポップスです。
『フライトナンバー62』
リマスタリング・バージョンとなった今作では、アレンジは当時のまま、歌のみを今の京本さんで歌い直しました。
アルバムでは、しっとりとしたサウンドに乗せ、去っていく恋人への恋慕を強がってみせる歌詞同様、大人びたちょっぴり背伸びをした雰囲気だったのが、
この曲も言葉のひとつひとつをとつとつと、そこはかとなく色気を漂わせつつ歌い上げています。
前作が持つ、たんぽぽの綿毛が揺れるようなほわっとした雰囲気は残しつつ、ところどころドキッとするほど艶っぽく、全体としてはフラットに
力の抜けた軽い仕上がりに生まれ変わった「フライトナンバー62」。どちらもそれぞれ味があり、聴き比べてみるのも一興です。
1 | 優しい言葉 |
2 | フライトナンバー62 |
3 | 優しい言葉〜インストゥルメンタル〜 |
4 | フライトナンバー62〜インストゥルメンタル〜 |
作詞作曲:京本政樹 編曲:山本はるきち(1)、船山基紀(2)