アルバム『少年たちの夜』との2枚同時リリース作品。デュエットや組曲など、初の試みが多くかなり実験的要素が大きい1枚です。
今回はアレンジャーにチト河内、船山基紀、難波正司の3名を迎え、最後のLP時代を象徴するかのようにA面は、チト、船山両氏と共にヴォーカリストとして
ソングライターとして、4曲という限られた中で様々な挑戦を試みた世界、B面は難波氏との壮大な世界観を表現しています。
柔らかく厚みのあるコーラスを土台に優しい歌声がふんわりと心地よい「Lovin'you」。
エコーをたっぷりかけた打ち込みが幻想的な雰囲気を醸し出し、切ない内容なのに包み込まれるような温かい印象を与えてくれます。
軽快なリズムに乗せた♪振り向かないまま というサビが耳に残る「君は降り出した雨を見ていた」。
数多くのミュージシャンの作品にバックコーラスとして参加されている、屈指の実力派シンガー坪倉唯子さんとのデュエットソング「恋はMAGIC」。
ちょっとおどけたサウンドがどうしようもない男に惚れてしまった心情と重なり、坪倉さんのしっとりと伸びのある歌声がとてもよく映えています。
坪倉さんて誰?という方も「おどるポンポコリン」のお姉さんと言えばわかるはず。サビの♪恋は不思議なマジック のハーモニーがとにかく心地よく、ウキウキとした気分にさせられます。
流れるようなピアノの旋律にジャジャーンと被さるイントロがカッコイイ「あの頃」。AメロBメロとじわじわと音が増えていき。♪もっと そばにおいで で一気に曲調、音の幅ともに広がる構成が
とても心地よく、聴き込むほどに旋律の美しさ、歌詞が心に沁みるバラードです。
全6章、26分を超える壮大な組曲「太陽のかけら」。
かなり凝った序奏は、白夜という素敵なタイトルもあいまって一体これから何が始まるんだろう? というワクワク感に満ちていますが、その先にあったのはファンもびっくりな世界でした。
ラジオドラマ風なモノローグあり、国営放送がやけに似合いそうなもう1つのデュエットあり、作詞家としても有名なゲストシンガー・国分友里恵さんのパンチの効いたナンバーあり。
20分を超える頃にようやく始まる「風のセーラ-Perversion-」は、カーニバル仕立てのアレンジが新鮮です。ノリのいい女性コーラス、華々しいトランペットの響き、サンバ色満載なパーカッションが
これでもか、とド派手に繰り広げられる展開が楽しくもありがたいような、まるでここまでの道のりを労わってくれているような、そんな気がして知らずと笑みがこぼれてきます。
1 | Lovin'you |
2 | 君は降り出した雨を見ていた |
3 | 恋はMAGIC |
4 | あの頃 |
5 | <組曲> 太陽のかけら |
5-1 | 1章 白夜 |
5-2 | 2章 DOWN TOWN物語T |
5-3 | 3章 Reminiscence |
5-4 | 4章 裏切りBABY |
5-5 | 5章 風のセーラ-Perversion- |
5-6 | 6章 DOWN TOWN物語U |
作詞作曲:京本政樹 作・編曲:5-2.5-6難波正司 編曲:1.2:チト河内/3.4:船山基紀/5:難波正司