● ラブレーの15分  ●

記念すべきデビューアルバム。
元々ミュージシャンを志向だった京本さん。映画「里見八犬伝」犬塚信乃役による大ブレイクで、遂に念願の歌手デビューとなりました。
ギタリストであり、甲斐バンド、井上陽水、竹内まりや、チューリップ、中森明菜etc.のアレンジで知られる椎名和夫氏をアレンジャーに迎え、山木秀夫(Ds)、美久月千春(B)、難波弘之(Pf)、兼崎順一(Tp)ら豪華ミュージシャンが参加した このアルバムは、京本さんがアマチュア時代から書き溜めた百曲を超える楽曲の中から、選りすぐりの10曲を集めた1枚です。

ドラマ主題歌にもなった「I Can't Say…」から始まる珠玉のナンバーは、すれ違う男女の心の機微をさらりと鋭く、時にはしっとりと独特の艶っぽさで歌い上げています。
「どこまでも女になりたい」や「愛した分だけ」「月の光で」などのバラード系の楽曲のメロディーラインの美しさ、柔らかさは言うまでもなく、 「Love Anymore」での高音を活かした不思議なコード進行や「純恋ナイト」に見られる、これぞ歌謡曲の王道!的な盛り上がりがとても楽しく、聞けば聴くほどクセになります。

それぞれの楽曲の良さ・多彩さに加え、このアルバムでは、各所で効果的に使われているホーンセクションが、 絶妙な隠し味になっています。
それが最も顕著に現れるのが、個人的にこのアルバム一押し曲「ジンにまぎれて」。
サビの♪甘い記憶が〜 とメロディーがくるくる転がる後ろで、切れ味鋭いバッキングが嵌る心地よさは、一度聴くと病み付きになるくらいカッコイイ。
また、現在に至るまで京本さんの音楽の片腕である、上杉勝也ことノアさんとのコーラスが堪能できる名曲「密会」では、シンプルかつ大胆なメロディーをディキシージャズ風にアレンジ、小粋でお洒落なナンバーに仕上がっています。

そして、ラストを飾る「Still in Love」。ストリングスの美しい調べと、柔らかな歌声のアンサンブルが紡ぎ出す温もりを、じっくり味わってほしい1曲です。

1I Can't Say…
2純恋ナイト
3どこまでも女になりたい
4Love Anymore
5ジンにまぎれて
6愛した分だけ
7密会
8おやすみなさい…と男たちへ
9月の光で
10Still in Love

作詞作曲:京本政樹 編曲:椎名和夫

1984年2月21日

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