● まるで悲しみが雨のように口づける/かげろうの街II  ●

映画『修羅之介斬魔剣−妖魔伝説−』、Vシネマ『健康師ダン』の主題歌2曲を収録した約10年ぶりのシングル。 ともに主演作品の主題歌ということで、昔で言うところの両A面の豪華盤ですが、敢えて”京本政樹”の名前を前面に 出さず、映画同様”冴木涼介”と言う謎のシンガーとしてひっそりとリリースされました。
近年では『おじゃる丸』の音楽でお馴染みの、作・編曲家としても知られるキーボーディストの山本はるきち氏をアレンジャーに迎え、全篇打ち込みによる 新しい京本サウンドが楽しめる1枚です。
また、京本さんの音楽には欠かせない存在である、相棒・堀口ノアさんが小川紅彦の覆面で作曲を担当。久々の強力タッグでファンを喜ばせました。

『まるで悲しみが雨のように口づける』
タイトルからして思わずハッとさせられてしまう、詩人・京本ワールド炸裂の1曲。
印象的なイントロに被さるように♪まるで悲しみが といきなりタイトルが耳に入ってくるサビ始まりの展開にワクワクさせられたのが、Aメロに入ると一転。 柔らかな低音が甘く響きます。
Bメロでは再び ♪何故にすれ違う とファルセットぎりぎりな高音の魅力が炸裂。見事に嵌ったコーラスとともに、サビ直前から癖になる快感さで 入れられる”おかず”のリズムの楽しさは、この曲のテーマである別れの辛さを逆に思い起こさせます。

『かげろうの街U』
1曲目同様、美しく耳に残らずにはいられないメロディーにほろりとさせられる名曲。
特にAメロでの♪こんなー 別れが来るとー と伸ばす音での柔らかなビブラートの艶やかさは 絶品。男心を切々と歌い上げるメロディーがころころと転がる後ろで、流れるように奏でられるハープ の音色の心地よさも聴き逃せないポイントです。
しかし、それ以上に個人的ツボは、サビの♪薬指に光ってる 安物のリング の部分。全体的に音の上がり下がりの激しいこの曲の中でも、 一際印象的な高音と低音の差を生み出すことにより、”薬指に光る安物のリング”という歌詞が耳に残らずにはいられない譜割りがたまりません。
また、”とてもきれいな女だし 優しかったし” とさりげなく韻を踏んだようになっている歌詞のちょっとした遊び心にもニヤリとする1曲です。

1まるで悲しみが雨のように口づける
2かげろうの街II

作詞:京本政樹 作曲:小川紅彦、京本政樹(2のみ) 編曲:山本はるきち

1997年4月25日

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