● 哀しみ色の…  ●

『必殺仕事人V』挿入歌となった表題曲、B面ともに必殺!の世界観が色濃く現れた、演歌調な1枚。
組紐屋の竜や里見八犬伝などで魅せる姿と、この曲から京本さんは演歌系の人、と思い当時京本さんのコンサートに足を 運んだ年配のお客様が、いきなり流れた「LADY」などのロックテイストの濃い曲の数々に帰ってしまわれたというエピソードも。
ジャケットの美麗な竜さんピンナップが ファンには嬉しすぎるオマケでした。

『哀しみ色の…』
京本さんがこれまで手掛けた全作品の中で最もお茶の間に流れた回数が多いのは間違いなくこの曲。これを聴くと無条件に 仕事を請け負うシーンや鏡の前で紅を指すシーンが浮かんで来る、という方も多いはず。
この曲を始め、必殺の音楽を手がけにるあたり、過去の必殺楽曲を聴きまくったというだけあって、メロディー、歌詞、アレンジともに見事なくらいにぴったり嵌っています。 全編名曲ですが、特に♪抱き合って求め合う安らぎを の部分でのヴォーカルとギターの掛け合いによる盛り上げ方、♪その時だけのぬくもりとわかって のコーラスの美しさが秀逸。
タイトルの”哀しみ色の”のあとに続く”…”は京本さんのこだわり。この”…”デビューシングルを含め、他にも数曲使われていますが、バラード、ポップス、演歌調と特に決まりは ないようなのが逆に気になります。近年は”〜最初から泣いていた〜”等、〜でくくって副題をつけるのがお気に入りの模様。
ちなみに90年代初頭くらいまで、この曲は大抵のカラオケに配信されていました。私も含め(笑)、当時熱唱したという方も多いのでは?


『闇の道』
イントロからオクターブと重音を駆使した華麗かつ哀愁溢れるピアノとストリングス、エレキギターの組み合わせで豪華に盛り立てた、仕事人が 抱える心の闇を綴った1曲。
歌詞、アレンジ、曲調ともにA面以上に演歌な世界が展開され、思わず東映映画冒頭に出てくるザバーンと波しぶきを上げる 荒ぶる日本海が浮かんできそうになります。が、これが何故か聴けば聞くほどクセになり、ドラマティックなピアノのイントロと サビのフレーズが頭から離れなくなってしまいます。
ところで、A面が挿入歌ならB面は主題歌、、じゃないよね? という疑問が残りますが。最後の♪振り返れば振り返れ〜ば〜 い〜つも〜〜〜闇の道〜♪ の部分でコブシを効かせ過ぎたのが主題歌にならなかった敗因、というのが当時のご本人のネタでした。
個人的にはこれだけの名演歌、思いっきりこぶしを利かせて、敢えて男性ではなく坂本冬美さん、神野美加さんあたりが歌うのを聞いてみたい1曲です。




side A哀しみ色の…
side B闇の道

作詞作曲:京本政樹 編曲:大谷和夫

1984年12月16日

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