前作『薄桜記』から8ヶ月ぶりの新曲。季節の移ろいに合わせ、今回はジャケットから曲調、PVまで夏色を前面に打ち出した1枚となりました。
発売直後の7月30日には、東京ドームシティラクーア ガーデンステージ ap SQUARE にてインストアライブが行われ、ファンのみならず一般の方にも
シンガーソングライター京本政樹をアピールする良い機会となりました。
『I LOE YOU』
京本政樹+ビッグバンドという珍し過ぎる取り合わせの本作は、王道感溢れるイントロのギターリフからTOWER OF POWERばりのホーンセクションがごきげんなサウンドを聴かせてくれるレトロゴージャスな香り漂う1曲です。
懐かしさを感じるメロディーに普段よりラフなボーカルが心地よく、自然と足というか腰でリズムを取りたくなる爽快さ。
サビの♪I LOVE YOU〜 のメインボーカルとホーンセクションのバッキング、コーラスの掛け合いが楽しく、その華やかについ耳がいってしまいがちですが、
個人的にこの曲のお薦めは意外と凝ったベースのカッコよさ。Aメロでのすべての楽器がバッキングに徹した中、1人影の主役的にボーカルに呼応したフレーズで
支えるベースラインに痺れてください。聴くと無性に海が恋しくなると同時に元気が湧いてくる1曲です。
『I Wish〜この同じ夜のどこかで〜』
真夏の解放感溢れる前曲から、今度は秋へ。晩夏〜秋への季節の移ろいを見事に表現したミディアムナンバー。
7thコードを多用したゆったりとしたサウンドが暑かった日々からほっとすると同時にどこか寂しさを感じてしまう秋口独特の心情にぴったりと
重なり、別れてしまった恋人を思いやる歌詞と相俟ってほろりとさせられます。
♪どんな夢を見てどんな景色の中で
ひとつめのどんなと二つ目のどんな。旋律の流れの絶妙さもさることながら、歌い方でもって言葉の意味の違いを表現したボーカルにはっとさせられます。
『白い夜〜薄桜記より〜』
2004年末に行われたディナーショーで歌われ、大好評だった薄桜記の歌詞違いバージョン。
しんしんと降り積もる雪景色を思わせるキーボード前奏からアコースティックギター1本のみをバックに、というシンプルな構成が楽曲の良さを
際立たせます。
静かにけれど情感たっぷりに歌うボーカルが切なく、美しくも悲しい歌詞の世界へすーっと引き込まれていきます。大幅に書きかえられた歌詞の中、
サビの♪何故に何故に忘れられない君の笑顔(涙)君の仕草(優しさ) の部分だけはそのままであることに、京本さんの拘りもしくは思い入れを
感じるとともに、言葉とメロディーが生み出す相乗効果の素晴らしさを実感します。しんみりとした
気持ちになりながらも、曲全体を覆う柔らかさに心が洗われていくような、そんな優しい気持ちにさせてくれる1曲です。
1 | I LOVE YOU |
2 | I Wish〜この同じ夜のどこかで〜 |
3 | 白い夜〜薄桜記より〜 |
4 | I LOVE YOU〜インストルメンタル〜 |
5 | I Wish〜この同じ夜のどこかで〜インストルメンタル〜 |
作詞作曲:京本政樹 編曲:大谷和夫