昨秋の放送開始以来、特撮ファンのみならず幅広い層に話題を呼び深夜枠ながら高視聴率を獲得した『牙狼(GARO)』。
ドラマ終了後もDVD発売やプレステ2ソフト、フィギュア、サントラetc.様々な媒体で好調な売れ行きを示し、続編も決定したこと
からも近年にない人気の高さが窺えます。
そんな中、更に驚く仕掛けではないですが、龍崎駈音を演じた京本さんの呼びかけにより、その主演メンバーの小西大樹、藤田玲、肘井美佳、渡辺裕之の5人がグループを結成し、
主題歌を発売するというプロジェクトが発足。その名もモーニング娘。などで知られる名プロデューサーつんく氏に
対抗(?)すべくハロプロと一文字違いのGARO
プロジェクト、ガロプロ。
期間限定で活動中の彼らの第一弾が、今回のCD発売とそれに伴う東京・ラクーアでのCD発売記念イベントです。
『牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜』
10年ほど前に『絶対音感』という本がベストセラーになりましたが、音を単純に厳密な高低だけで言うなら、例えば五線の中段にあるA(アー、日本名でいえばラ)の音というのは
ひとつしかありません。けれども、同じAの音であっても、そこに音色というものが加わると、そのバリエーションはほぼ無限になります。
例えば、同じメロディーを異なる楽器で演奏した場合、印象はもちろん、人によっては音程さえ錯覚して異なる風に聴こえてしまう、といったことがしばしば起こります。
いきなり妙な小難しいことを書きましたが、今回のガロプロver.を初めて聴いたとき、まさにこの感覚に陥りました。「あれ?もしかして半音キーを下げた?」と。もちろん、バックのサウンドからキーが同じなのは
すぐに判明しましたが、元々繊細な声質の京本さんと、今回のために声をつぶしたハスキーな小西くんでは、それくらいガラリと印象が違ったものに仕上がっています。
歌詞の一言一言を噛み締めて区切るように、とつとつと歌い上げる京本さんver.は、中世のゴシック建築を思わせるような緻密で幻想的な強固な世界観が確立していたのに対し、小西くんは、少々例えが古いですが、
杉山清貴もしくは徳永英明が奥田民生風に歌ってみました、と形容したくなるような、いい感じに肩の力が抜けた印象を受けます。
また、♪悲しみはいつか消せるはず♪ のはずのように、ところどころメロディーがリアレンジされていたり、さりげなく随所に盛り込まれている多彩なコーラスも新たな聴き所です。
『僕はまだ恋をしてはいけない』
出だしの藤田くんから小西くんへのヴォーカルチェンジや、肘井さんの透明感に溢れるスキャットなど、『僕が〜』以上に
メンバー各人の個性を活かしたヴォーカルアンサンブルが楽しめる1曲です。特にBメロからサビにかけてのメインヴォーカルに
コーラスが重なっていく部分は、メロディーの盛り上がりにぴたりと嵌り、かなりの心地よさです。
サビの♪僕はまだ恋をしてはいけない♪ 京本さんver.は、ギリギリのところでバランスを保っている危うさが何とも
魅力でしたが、ガロプロver.は全体的に素直で荒削りなヴォーカルが、「(何があっても)僕はまだ恋をしてはいけない」という
若さ故の強固な意志を窺わせてくれます。
渡辺さんのドラムスの腕前は、京本ファンにはあの伝説の”京本バンド”で既に
立証済みですが、今回のプロジェクトで更に証明されるとともに、しっかりと音源として残ることになりました。
『僕が〜』同様、打ち込みからの差し替えですが、生音の良さをしっかりと活かした、タイトで効かせどころを心得たドラムは、
メインのヴォーカルに負けない聴き所です。
京本プロデューサーの一声で実現した今回のプロジェクト。京本さんヴァージョン、ガロプロヴァージョンそれぞれに
違った良さがあり、聞き比べることにより、それぞれの魅力を再発見・新たに見出したりできるという
嬉しいオマケがつきました。
ごく個人的には『僕が〜』は京本さん、『僕は〜』はガロプロメンバーが
ベストな組み合わせかな、という感想を持ちました。
もし、これを読まれた中でどちらか一方だけをお持ちの方は、思い切ってもう一方の
ヴァージョンも聴いてみてくださいね。
1 | 牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜 |
2 | 僕はまだ恋をしてはいけない |
3 | 牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜(Instrumental) |
4 | 僕はまだ恋をしてはいけない(Instrumental) |
作詞作曲:京本政樹 編曲:山本はるきち