● 赤いバラ  ●

特撮界に熱い嵐を呼び起こしたドラマの人気のまま、東京・ラクーアでの記念イベントも大盛況となったGAROプロジェクト。
その待望の第二弾シングルが、12月の続編SP「GARO 白夜の魔獣」に先駆けて発売。
前作は京本さんが自身の為に書き下ろした楽曲をカバーする形でしたが、今回はプロデューサーである京本さんと、その意を汲んだ渡辺さんの意向の下、ベテラン2人はサポート役に まわり主役の3人を前面に押し出した形になりました。
続編SPの撮影と平行して行われたレコーディングは過酷を極めましたが、その分仕上がりはこれまでの京本作品にはない、 どこか懐かしいのに全体としては新しい、という不思議な新しさと嬉しい驚きが入り混じった、出色の出来映え。ソングライター京本政樹としての懐の大きさを改めて 思い知らせてくれるものとなりました。


『赤いバラ』
スパニッシュ色の強いメランコリックで印象的なギターフレーズで始まる本作は、前作『僕が愛を伝えていく』以上に牙狼の世界が強まり、歌詞やサウンドにその世界観が 色濃く反映されています。
3人の音楽性に惚れ込んだ京本さんが、敢えて、メインボーカルを務める小西くんのキーの限界に設定したというメロディーラインが、 独特の艶のある声質に見事に嵌り、これ以上ない色気と鋼牙そのものともいえる、危うい切なさを感じさせてくれます。
限界キー、ということでかなり高音、上はA(実音上は五線の中段ですが、男性の声でいえば五線の上のハイトーン)まで あがっているのですが、それを感じさせない力強いボーカルは見事。思わずもう少し出させてみたい気になります。
個人的には、この曲でボーカリスト小西大樹(現在は遼生に改名)に惚れました(苦笑)。彼の良さを見事に引き出した楽曲構成には、 プロデューサーの底力恐るべし、というより他にありません。
完全にサポートに徹しながらも、しっかりと存在感を示しているドラムスは流石。サビの直前からアクセントとして入る、シモンズ風な打ち込みもツボです。
また、緻密に計算されたコーラスワークも聞き逃せません。特にAメロ2フレーズ目の♪今更に君の影を探し などに見られる男性の上に女性コーラスが 乗った時のハーモニーの美しさは、ハーモニー好きはもちろん、別段コーラスワーク大好きでなくとも、思わずはっとさせられるはず。



『オーロラの下で』
雨宮監督の京本版『WE ARE THE WORLD』という要望に見事に応えた本作は、情熱的な『赤いバラ』とは打って変わり、 聴くものを懐かしい気持ちへと誘う優しいミディアム・バラード。
ごく自然に肩の力を抜いたヴォーカルが心地よく、メロディーラインの美しさが際立ちます。
『牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜』で見られた、ややだらりと力を抜いた感じではなく、鼻歌気分で気持ちよく素直に 歌った感じがとても心地よく、改めて声そのものがもつ響きの良さに驚かされます。
それぞれの個性を活かしたボーカル持ち回りも楽しく、ごく自然に楽曲が耳に入ってくるとともに、歌われている優しい情景が 目に浮かびます。
『赤いバラ』同様、コーラスワークの見事さが特筆されますが、『赤いバラ』は上に積み上げる方式だったのに対し、 こちらは主として下にハモルのがポイント。しかもずっと下と見せかけて、最後の最後だけ上に行くという構成が心憎いです。
まったくの私見ですが、小西くんの声が一番響くキーはE(ドレミでいえば上のミ)だと思うのですが、この曲ではAメロ、サビともにそのEがかなり 多用されており、弦楽器でいうところの開放弦を弾いたときのような、豊かな響きの広がりにうっとりしてしまいます。
(どんだけ好きやねん、と呆れられそうですが。多分、京本さん楽曲でなくとも、小西くん個人でCDを出すのなら聴いてみたい! と思うくらい、今回の2曲で彼の歌声に惚れてしまいました^^ゞ)
また、この曲ではラ・クーアイベント時に収録された、参加者の歌声が効果的に使用されており、イベントに参加した方にとっては 何よりの記念になっているのが何とも京本さんらしい演出です。
イベントに参加しなくとも、メインヴォーカルとの絶妙なバランス、ラストに向かっての盛り上がり具合には、くぅ〜〜やられたっ上手いっと 嬉しくなります。
ファンの方はもちろん、そうでない方にも是非一度は聴いてほしい、と思う1曲です。




1赤いバラ
2オーロラの下で
3赤いバラ(Instrumental)
4オーロラの下で(Instrumental)

1作詞作曲:京本政樹 RAP詞:藤田玲 編曲:京本政樹・山本はるきち
2作詞作曲:京本政樹 編曲:山本はるきち

2006年11月22日

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