● 必殺仕事人V  ●

タイトルを聞いただけで、あの♪ぱらぱ〜 というおなじみのテーマが聞こえてきそうな、藤田まことさん扮する中村主水が活躍する仕事人シリーズ5作目。
”京本政樹”の名を決定的に世間に知らしめることになった、最大の出世作。
このページをご覧の方で、この作品で京本さんを知った、本格的に嵌った(笑)という方はきっと多いのでは?

当時、大人気だった秀・勇次コンビに変わる新しい仕事人として、相棒・政役の村上弘明さんとともに抜擢された京本さんが演じたのは、五色の組紐を操る美貌の仕事人、ご存知・組紐屋の竜。
日頃は腕のいい組紐職人として生計を立て、裏の仕事の際には組紐を武器にその白く細い腕からは想像もつかない力でもって相手を締め殺す。
本放送から20年近い月日を経た今も尚、根強い人気を誇る竜の魅力は、なんと言ってもあの少し憂いを帯びた涼しげな目!すっと無表情に的を見つめる、その瞳の冷たさ、恐ろしいまでの美しさは、ちりんと切なく響く鈴の音と相俟って一度見たら最後、目に焼きついて離れません。そんな氷のような冷たい色を浮かべる瞳が、表の顔ではとても穏やかで優しくなったり、時には子供のように朗らかな笑みを浮かべたりと、無口な性格を補って余りある雄弁さです。京本さんご自身が、”目で芝居をするから台詞は要らない”とおっしゃったというエピソードも頷けます。
また、徹底的にこだわり抜いたという、メイクや鬘など、どれをとっても京本さんにしか出来ない(似合わない)、出せない色と艶に満ちた魅力がいっぱいです。
更に、ドラマ最大の見せ場である殺しのシーンでも、あの”これぞ必殺!”な光と闇のコントラストを見事に表現した完成形に行き着くまで、スタッフと試行錯誤を重ねたという京本さん。シリーズ初期では屋根などの高いところではなく、地上で殺しを行ったり、走ってみたりと後半では考えられない珍しい姿も楽しめます。
そして、京本さん自らの作・歌による「哀しみ色の…」をバックに、仕事の前に紅を引くシーンも、仕事の場面と並ぶ注目ポイントです。

その他には、衣装の豊富さにも注目したいところ。晴れ舞台である仕事衣装が初期の頃は、フィギュアにもなっている赤と黒の着物に金の帯(京本さん曰く”金魚”(笑)、中盤では黒地に銀糸で鈴を織り上げたもの、後半では目の覚めるような鮮やかな瑠璃色に藍湊の市松模様を施したもの、へと変化していっているのはもちろん、表の仕事で着る着物も実に様々な色や柄で視聴者を楽しませてくれました。

各話それぞれに見どころがあり、今見ても充分楽しめますが、その中でも特にお薦めは、やはりこの2本。
何かと謎が多い竜の過去が明かされる、第12話「組紐屋の竜、忍者と闘う」と映画撮影中に起きた不慮の事故を見事に物語に反映させた第21話「組紐屋の竜、右足を傷める」
どちらも竜がメインのため、たっぷりとその艶姿を拝めるのに加え、物語としても大掛かりなアクションシーンや、微妙な心理描写など見ごたえ充分となっています。


話数 サブタイトル 一口メモ
1 主水、脅迫される 台詞に悪戦苦闘の初々しい竜
2 主水、混浴する 竜、弁天小僧&お嬢様になる
3 加代ゴリムリンを売る おみ足全開で全力疾走する竜
4 主水家をしめ出される 竜、助けた女に惚れられる
5 主水、奉行所の人員整理にあわてる 竜、政にグーで殴られる
6 りつ、減量する 主水一味、仲良く温泉宿で人質になる
7 主水、生体解剖に腰をぬかす 紅を指すシーン初披露
8 加代、モグラ男夫婦にあてつけられる 政、布団を担いで竜の家に転がり込む
9 主水、キン肉オトコに会う ゆでたまごゲスト
10 主水ヘソクリを盗まれる 竜、取引先の一人娘に求婚される
11 主水、送別会費を全額盗まれる 竜、夜釣りをする
12 組紐屋の竜忍者と闘う 竜の過去が明らかに!?
13 主水、ヒヒ退治する 仕事着を羽織るシーンに注目
14 主水、上司の田中と出張する 強敵に竜&政、特訓する
15 主水、いじめられっ子になる 竜、娘を救う為川に入る
16 主水、入院する 竜、偽者の登場で窮地に
17 加代子守唄を歌う 怪我の為、竜殆ど出番ナシ
18 花屋の政ワル仕事人と闘う 過去の傷跡に苦悩する政
19 加代、天才男と商売する 怪我の為、竜殆ど出番ナシ
20 主水、田植えする 竜、一気に2人の男を吊り上げる
21 組紐屋の竜右足を痛める 竜、仕損じて負傷する
22 主水、イッキ飲みする 田中様、男性用化粧品に嵌る
23 加代、五千両の金塊を拾う 竜、夏物の衣装を披露
24 花屋の政雷雨の中で闘う 政、幼馴染と戦う
25 主水、源氏と平家に泣かされる 竜、一座の息子の相談に乗る
26 主水、下町の玉三郎と出会う 再びそれぞれの道へ、さらば順之助


主要キャスト
中村主水藤田まこと筆頭同心田中山内としお
花屋の政村上弘明溝呂木頼母妹尾友信
組紐屋の竜京本政樹玉助梅津 栄
何でも屋の加代鮎川いずみお新灘 陽子
西順之助ひかる一平せん菅井きん
おりく山田五十鈴りつ白木万理

1985年1月11日〜7月26日

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