● 大江戸捜査網(第1シーズン)  ●

我が命、我がものと思わず  武門の儀あくまで陰にて
己の器量伏し  ご下命いかにても果すべし
なお、死して屍拾う者なし  死して屍拾う者なし

70年代〜80年代前半にかけて、杉良太郎、里見浩太郎、松方弘樹さん主演で一世を風靡した大型時代劇が、お馴染みのナレーションとともに、6年ぶりに装いも新たに復活した'90版大江戸捜査網。
田沼意次失脚後、江戸の治安を取り戻すべく集められた葉月裕之介(橋爪淳)、秋草新十郎(京本政樹)、松原蔵人(隆 大介)、花の小路お光(中村あずさ)ら四人の隠密同心が、筆頭老中・松平定信の命により活躍する様を描いた痛快娯楽時代劇です。

「必殺」以降久しぶりの連続時代劇への出演となった本作で、京本さんが演じたのは南町奉行所のお荷物同心・秋草新十郎。
彼は、恐らく京本さんがこれほどまでに明るく目出度いキャラクターを演じたのはこれが最初で最後では?というくらいに楽しい人物です。役所では、あの中村主水も真っ青な昼行灯ぶりに加え、酒好き・女好き・博打好きと三拍子揃った与太郎で、女性の代わりにオカマの上役・白壁様(龍虎)に「新ちゃーん」と追いかけられる毎日。
そんなダメ同心な彼が、実は裏では知る人ぞ知る「隠密同心」として活躍する、見事な腕前の持ち主だということを誰も知らない。

このシリーズの見どころは何と言っても、毎回の討ち入りシーンで披露される見事な殺陣、これに尽きます。
月代に鉢巻き姿も凛々しく、右に左に上、下とそれは見事な動きで立ち回る様は、刀捌きの速さに切っ先の美しさも加わり何度見ても惚れ惚れします。
速さだけでなく、最後の納刀など決めどころでの、じっくりためての作法も見逃せません。
京本さん自ら色んなアイディアを出された、という新十郎。そのある意味奇抜な(笑)ファッションから何気ない仕草まで、どれを取っても飽きさせません。番組名物となった龍虎さんとの掛け合いはもちろん、それ以外でも毎回のラストや、日常場面で見られる仲間との軽妙なやりとりは、時折バラエティー出演時などに見られる、”お茶目な京本さん”そのものです。
軽口ばかり叩く一方で、仲間の為には時には心を鬼にして叱咤激励する面も持ち合わせていたり、と人情味溢れたキャラクターに応じて様々な表情を見せてくれるのも嬉しい限りです。
また、この'90シリーズでは毎回のように新さんのコスプレ(笑)が見られるのも楽しみのひとつです。第ニ話でのきりりと麗しい女形姿を皮切りに、太鼓持ちや若旦那、果ては殆ど組紐屋の竜もどきな町人姿まで、色々魅せてくれます。

組紐屋の竜、名張の翔とはまたひと味違った魅力がたくさん詰まった『大江戸捜査網』。あの流れるような殺陣とともに出来ることならもう一度復活してほしいものです。


主要キャスト
葉月裕之介橋爪 淳松平定信田村高広
秋草新十郎京本政樹お七吉野真弓
松原蔵人隆 大介白壁龍虎
花の小路お光中村あずさ六助小松政夫

1990年10月13日〜1991年3月29日

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