● 水戸黄門(第24部)33話「御用金送りは悪の罠・福島」  ●

仙台を後にし、奥州街道の風光を愛でながら福島へと向かうご老公ご一行。途中、山間の道で修験者(しゅげんじゃ)の一団に遭遇する。その最後尾には六部姿の名張の翔がいたことから驚く八兵衛(高橋元太郎)たちだったが、ひとまずその場はやり過ごすこととし、福島の御城下へと入った一向は、途中助けた智恵乃(上村香子)の屋敷に世話になることに。
智恵乃はかつて、福島藩次席家老・都築(西田 健)の求愛を断り、潮田左門と所帯を持ったが、そのことを未だに恨む都築が何かと智恵乃の息子・数馬(田中実)を疎んじていることを気に病んでいた。 その都築は、荒谷屋(江見俊太郎)と組み、江戸屋敷に献上する御用金2千両を強奪し、それに絡んで数馬の暗殺を謀る計画を密かに練っていた。彼らの動向を探るべく、修験者達と同行する翔より連絡を受けたご老公ご一行は、彼らを成敗する為とある計画を実行することに……。

名張の翔、3度『水戸黄門』に登場です。
今回は冒頭からの登場に加え、全篇白装束の六部スタイルに総髪を後ろで緩く束ねたいでたち、というファンにはたまらない姿での登場です。はらり、と垂れたしけが風に舞う様の色っぽさは、まさに京本さんならでは。
悪者側に加担したと見せかけて実は…という設定のため、何かと出番が多い翔。ますます磨きがかかった流し目に加え、時折見せる人を食ったような悪戯っぽい笑みがたまりません。 更に、今回は立ち回りの他に、馬を駆る姿が見られるのも嬉しい限り。
また、『水戸黄門』シリーズではすっかりお馴染みの江見俊太郎さんの、絵に描いたような悪商人ぶりや、珍しい(?)お銀の村娘姿なども一際楽しい見どころです。

3度目にして最も大活躍した名張の翔ですが、この回を最後に『水戸黄門』シリーズを始めテレビから姿を消してしまったのが惜しまれます。
既に本放送から10年近くたった今となっては、再登場は難しいと思われますが、もし、願いが叶うのならば、いつかまた、あのクールで気障なのにどこかお茶目な、究極のはまり役”名張の翔”に 会いたいものです。

1996年5月20日

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