約3ヶ月のブランクを経て装いも新たに再開した必殺仕事人Vシリーズ。
このシリーズでは、やや娯楽に走り過ぎた前シリーズの反省を受け、
必殺の原点であるハード路線への回帰をはかる意味合いを込め、タイトルに
激闘編が付け加えられ、様々な変化がみられました。
まず、今作では
江戸の仕事人達を束ねる組織「闇の会」が登場し、すべての仕事はこの闇の会を通じて請け負うことに。
また、前作で大ブレイクした
竜・政コンビの片割れ政の表稼業が花屋から鍛治屋に変更になると同時に、武器も花から手槍に変更。
更に仕事人の面々も主水、政、竜、加代、お馴染みの4人の他に、壱(柴 俊夫)、弐(梅沢富美男)、参(笑福亭鶴瓶)というはぐれ仕事人が加わり、
それぞれが個性的な持ち味を発揮しました。
特にレギュラーとしてほぼ毎回登場した壱は、女好きで飄々とした人情味溢れる
キャラクターながら、仕事に対する厳しさは随一。若い政、竜とは一味違った”大人な仕事人”の魅力をたっぷり味わうことができます。
こうした全体的な変化同様、京本さん演じる竜にも若干の変化が見られました。
表稼業は組紐屋のままですが、殺しに使う組紐が前シリーズの鈴がついた赤と黒のモノから渋い濃緑の組紐の先端に鋲がついた鋭利でよりリアルなモノに変更になりました。
それに伴い、衣装も前シリーズの思わず目を惹く色鮮やかなものから、黒や渋味がかった色合いの全体的にやや抑えた雰囲気の装いに。しかし、見た目は黒でも裏地が赤だったり背中に見事な竜の刺繍が施してあったり
と思わぬ部分でのお洒落を楽しむことが出来ます。また、シリーズ終盤では、映画『ブラウン館の怪物たち』で着用した着物で仕事を行う姿が見られるのも嬉しいポイントです。
クールで口数が少ないのは相変わらずですが前シリーズに比べ、やや感情を表に出すシーンが多くなったのも見逃せません。
特に長い付き合いとなった政や加代とのシーンでは、かなり人間味が増した竜を味わえます。また、
この激闘編では色々な食べ物を食するシーンが出てくるのも隠れた見どころです。意外と豪快な食べっぷりを披露する竜さん、是非お楽しみください(^-^)。
そして、前シリーズの挿入歌に続き鮎川いずみさんが歌う主題歌『女は海』の作詞・作曲を手がけ、更に劇中音楽も担当されているのもファンには嬉しい限り。
劇中音楽を担当するに当たり、それまでの必殺シリーズの音楽を研究されたというだけあって、随所で流れる音楽は、どれも耳に馴染みやすく雰囲気にピッタリ。
特に仕事の始まりを告げる、トランペット吹きのツボを抑えまくった、華やかでカッコよすぎな殺しのテーマは必聴です!
激闘編放送中に公開された映画『必殺3・裏か表か!』で壮絶な最期を遂げた竜は、このシリーズを最後にTVの『必殺シリーズ』からも姿を消します。
「竜は死んでいません。必ずまた戻ってきますから」当時、別れを惜しむファンを気遣い事あるごとにそう言い続けた
京本さんの言葉を信じて、次の『必殺仕事人V旋風編』や『必殺仕事人V風雲龍虎編』を見続けた私の期待とは裏腹に2度とその姿を目にすることはありませんでした。
出来ることならもう少し見ていたかった、そう思う気持ちは未だにあるものの、この時すっぱりと消えてしまった
からこそ、いつまでも強烈に”美しい思い出”として人々の記憶の中に留まり、こうして20年近く経っても尚、色褪せることなく多くのファンを魅了し続けるのかもしれません。
『組紐屋の竜』という唯一無比・永遠のヒーローとも言うべき存在に出会えた幸せ、生み出されたスタッフ、演じられた京本さんに心からの感謝を!!
話数 |
サブタイトル |
一口メモ |
1 |
殺しの番号壱弐参 |
闇の会&はぐれ仕事人登場 |
2 |
大仕事!大名殺し |
竜、鰻屋で政と割り勘 |
3 |
大難関!大奥女ボス殺し |
竜&政、畳屋になる |
4 |
顔と態度で損した親分の一生 |
泣かせる1本、華麗な仕事シーンは必見 |
5 |
りつの家出で泣いたのは主水 |
竜、仲間の救出に大活躍 |
6 |
加代、丸坊主になる |
竜&政、ヘマをやらかす |
7 |
加代、丸坊主になる |
竜&政、獅子舞姿を披露 |
8 |
初夢千両殺し |
竜、役者&渡世人姿になる |
9 |
せん、むこ殿をイビる |
政、酒を飲む竜をからかう |
10 |
主水雀の丸焼きを食べる |
竜宅の台所事情が明らかになるも出番殆どナシ |
11 |
加代、何でも屋婆さんに驚く |
政、褌姿で百叩きになる |
12 |
頼み人は津軽のあやつり人形 |
竜の家の登場多し |
13 |
主水の上司人質になる |
竜、またも旅装束で仕事する |
14 |
せんとりつ不倫する |
竜、加代の不倫本に呆れる |
15 |
主水、卵ひな人形をこわす |
竜、政に蕎麦の差し入れをする(出番多) |
16 |
主水、クモ男を捕り逃がす |
仕事以外出番ナシ |
17 |
江戸の空にハレー彗星が飛ぶ |
加代、嫁入り志願する |
18 |
主水、お嬢様に振り回される |
竜の冷徹ぶりに注目 |
19 |
主水、羊かんをノドにつめる |
竜、熱くなるも出番少 |
20 |
主水、健康診断にひっかかる |
参、復讐劇に巻き込まれる |
21 |
せんとりつ、酔って暴れる |
竜、売春宿に行く |
22 |
せん、女ひとり旅する |
壱の過去話、隠れた傑作 |
23 |
組紐屋の竜、襲われる |
必見!竜、またも負傷する |
24 |
主水、上方の元締めと決闘する |
シリーズ最高傑作 |
25 |
主水、紫陽花の下に金を隠す |
政と壱ようやく打ち解ける? |
26 |
主水、殺しに遅刻する |
壱、居残り先で竜に見つかる |
27 |
主水、トカゲのしっぽ切りに怒る |
加代、政の姉になる |
28 |
何でも屋の加代、求婚される |
竜、殆ど出番ナシ |
29 |
主水、まっ青に染められる |
竜、大奥のボスに見込まれる |
30 |
主水、年上妻にあこがれる |
蛇の目傘をさす竜 |
31 |
加代、究極の美男に惚れる |
出番極小も仕事シーンは必見 |
32 |
鍛冶屋の政、水中で闘う |
竜、五十両の懸賞金の的に |
33 |
主水、ウラ技で勝負する |
竜、握り飯を頬張る&さらば仕事人 |
主要キャスト |
中村主水 | 藤田まこと | | 筆頭同心田中 | 山内としお |
鍛冶屋の政 | 村上弘明 | | 小者六平 | 妹尾友信 |
組紐屋の竜 | 京本政樹 | | 元締の声 | 須永克彦 |
何でも屋の加代 | 鮎川いずみ | | 影 | 加治春雄 |
壱 | 柴 俊夫 | | | |
弐 | 梅沢富美男 | | せん | 菅井きん |
参 | 笑福亭鶴瓶 | | りつ | 白木万理 |