● あんみつ姫2  ●

昨年お正月明けに放映され、大好評を博した平成版「あんみつ姫」。来年も続編を、との熱い声にこたえて今年もまたやってきました。
今回は悪役側に中尾彬、竹内力、杉本彩という強力かつ濃すぎるメンバーを 揃え、前回の明るく楽しいテイストはそのままに、立ち回りなどをより一層充実。昨年のLOVEから今年はスマイルを合言葉に、たくさん笑って最後はちょっぴり(個人的にはかなり大泣き 笑)泣いて、見終わった後に自然とスマイルが浮かんでくるような 誰もが楽しめる作品に仕上がっています。


甘辛国のプリンセス、あんみつ姫(井上真央)は、塩辛国の家老を懲らしめて以来、お城を抜け出しては盗人退治に精を出すじゃじゃ馬ぶりを発揮。そんなあんみつに母・てん茶(和久井映見)は呆れ、外出禁止令を言い渡す。
すっかり不貞腐れていたあんみつだったが、小姓・甘栗の助(今井悠貴)は「自分を産んでくれた母をそんな風に言う姫は嫌いです」と諭されしばらくおとなしくすることに。
そんなある日、あんみつと甘栗の助はカステラ夫人(夏木マリ)と家老・あべかわ彦左衛門(泉谷しげる)が甘栗の母が生きている、という話をしているのを偶然聞いてしまう。母は幼い時に死んだと聞かされてきた 甘栗は、自分は母に捨てられたのでは?とショックを受ける。
そんな甘栗を見たあんみつは、再び2人でこっそり城を抜け出し吉良吉良国へと甘栗の母を探しに出かけてしまう。相変わらず奔放な姫の行動にてん茶を始め、お城は大混乱。あんみつのよき理解者祖母・しぶ茶(白川由美)の命を受け、あんみつ同心リュウ(京本政樹)も姫の後を追うことに。

途中、謎の女などに会いながら、ようやくたどりついた吉良吉良国・かがみ藩。しかし、2人は町の人々の異変に気づく。というのも、出てきた団子は信じられないほど小さく、誰もが疲れ切った表情で何かに怯えている様子。いぶかる2人の前に税の取立人・我滅猪生(竹内力)一味が現れ、人々がこぞってなけなしの税を納める姿にあんみつの怒りが爆発。 しかし屈強な男相手ではさすがの姫も敵うはずがなく。偶然現れた野牛九兵衛(内田朝陽)に助けられる。
そんな折、優勝者のどんな願いもかなえてくれるという天下一武闘会が開かれることを知ったあんみつは、甘栗の母を探すため参加を決意。会場で再び九兵衛と出会う。やがて予選を勝ち抜いた2人は高級宿・比留豚へと案内される。 甘栗の助はそこで出会った女将・錦玉(杉本彩)に一目ぼれしてしまう。
優勝して、甘栗の母を探すと意気込むあんみつに、どこか冷やかな九兵衛。というのもこの大会こそが実はかがみ藩を牛耳る阿久田偉観(中尾彬)が仕組んだもの だったのだ。2人は無事、甘栗の母を見つけ出すことができるのか?そして九兵衛の正体とは!?


昨年に引き続いての放送となった「あんみつ姫2」。楽しい内容のみならず豪華な衣装も話題となりましたが、華麗な衣装は今年も健在。チャーミングさを増したあんみつ姫の笑顔とともに暗い世相を吹き飛ばすような華やかさと愛らしさで 楽しませてくれます。今回はあんみつ姫の他に胡桃姫(大塚寧々)も登場。あんみつとは一味違う清楚な大人の着物姿の美しさも見どころです。
また、今回は衣装だけでなく小物やセットにも細部にまで工夫が凝らされ、特に比留豚ではあちこちに可愛らしい豚がさりげなく登場。思わぬところに豚がいたりして、作り手の遊び心にニヤリとさせられます。
パワーアップした多彩なゲストも楽しく、中でも悪役俳優として名高い竹内力さんのお茶目すぎる演技は必見。レッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」をバックにど派手な衣装に身を包み、意外と(?)キュートな眼を真ん中に寄せて「○Xじゃーん」と連発する姿はインパクト強大。 いい意味で期待を大きく裏切ってくれます。
京本さんの大親友・杉本彩さんも艶やかな妖しさ全開。のっけから「ジェラシー」を踊る姿には甘栗ならずともクラーっときてしまいます。
そしてなんといっても見どころは今回の主役、甘栗の助。磨きがかかった芸達者ぶりに可愛さも更にパワーアップ。小さい体で姫のみならず、吉良吉良国の人をも思いやるけなげな姿にほろりとさせられっぱなしです。


さて、昨年に引き続いての登場となった金つばのリュウ。 今回は出番も大幅に増えた上に、毎回のように立ち回りシーンがあるという嬉しすぎる登場となりました。
出番が増えた分、前作以上にこれまで演じてきたキャラクターの集大成の色合いが濃くなり、登場のたびに衣装だけでなく鬘まで変わるというサービス&気合の入りぶり。次は何で来るかなーというワクワク感が楽しく、いざ登場すると決して期待を裏切らない姿が嬉しい限りです。 前回はラストまで謎の男でしたが、今回は既に身元が割れている分、姫や甘栗の助とのやりとりも微笑ましく。ようやく探し当てた姫の所業に「何をやっているんだ」と呆れる一方で、リュウの方も悪党相手に名乗ろうとするたび、姫はおろか甘栗の助にまで「それは聞かない方が」と 突っ込みを入れられる始末。しかし、どんなに突っ込まれてもスタイルを変えないらしさが素敵です。

また、何よりも嬉しいのは立ち回りが増えた分、バリエーションも豊富にこれでもか、というくらい様々な手を見せてくれていること。劇中「これが私の見せ場ですから」という台詞が表すとおり、どんな形でも所作の美しさは損なわれず、また必ず腰が入っているのがポイントです。
最後はお約束の白装束にポニーテールがはらり、と思ったらなんと円月殺法ならぬ半月殺法まで披露してくれた上に、高速お仕置きつきというまさにファンにとっては垂涎&感涙の見せ場となりました。
ちなみに前作では中条きよしさんとの対峙がありましたが、今作も最初は三田村邦彦さんへ出演依頼があったそうで。残念ながらスケジュールの関係で実現しませんでしたが、もし出演されていればかつての仕事人仲間対決part2、または市蔵vs治さん対決が見られたのに、と思うとそれだけは ちょっぴり残念です。

と、本編だけでもファンにとってはたまらない内容でしたが、今年はエンディングも更にヒートアップ。昨年も出演者による主題歌「ダイアモンド」の熱唱で楽しませてくれましたが、今回はなんと肉桂役の前田健さんの振り付けによる出演者全員のダンス。 着物姿で踊る京本さん、しかも紐を駆使したり、中盤では刀捌きを披露したその刀をマイクにして歌う、というこれ以上ないお年玉となりました。

今年も笑いと感動、製作・出演者含めた作り手の愛がたくさん詰まった宝物のような娯楽時代劇を見せてくれたあんみつ姫2。この勢いで来春もまた再会したいと切に願います。


主要キャスト
あんみつ姫井上真央金つばのリュウ京本政樹
甘栗てん茶今井悠貴いちご大福中川翔子
煎兵衛小出恵介野牛九兵衛内田朝陽
カステラ夫人夏木マリ胡桃姫大塚寧々
あべかわ彦左衛門泉谷しげる五平餅温水洋一
しぶ茶白川由美ちまき八木優希
てん茶和久井映見阿久田偉観中尾 彬
錦玉杉本 彩我滅猪生竹内 力
巴里酢はるな愛肉桂前田 健

2009年1月11日

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