●● 静かなるドン FOREVER ●●
昼は下着メーカーに勤めるしがないサラリーマン、夜は関東最大の暴力団・新鮮組三代目組長。という2つの顔を使い分ける男・近藤静也の活躍を描いた、新田たつお氏の人気コミックス『静かなるドン』。
これを中山秀征さん主演で連続ドラマ化。大好評を博し、その後2度に渡り2時間スペシャルが放映されました。今回とりあげるのは、タイトルが示すとおり、本放送終了から1年後に製作されたスペシャル最終版です。
3年に一度開催されるというヤクザサミット。今回も全国各地から名だたる組長が顔を揃える中、静也は毎年少しずつ各組が組員を削減し、10年後にはすべてのヤクザ組織を解体するという仰天プランを提案し、組長達の猛反対に遭う。
密かにヤクザ界の首領にのしあがろうと企む、名古屋・葉祖根組組長、葉祖根九八(田口トモロヲ)は、新撰組と以前から
親交の深い大阪・鬼州組が手を組むことを恐れ、組長・坂本龍子の抹殺を指示。龍子は静也との会談中に凶弾に倒れ、静也の周囲にも不穏な空気が立ち込め始める。
一方、静也が勤務する下着メーカーPrettyに、有能な新人・佐々辺晋作(宮川一郎太)が入社。バリバリと仕事をこなす彼は、静也が密かに想いを寄せる秋野明美(石田ゆり子)に恋してしまう。その佐々部は、静也に恋愛相談を持ちかけた最中に起きた異変から、彼の本当の姿を知ることに!?
そんな折、静也暗殺を企む葉祖根は、静也と秋野の関係を突き止め、秋野を人質におびき出す作戦に出る。母・妙子(野際陽子)を始め周囲の反対を押し切り、
静也は単身、葉祖根のアジトへと乗り込む……。
この作品で京本さんが演じたのは、謎の殺し屋Mr.J。経歴はおろか名前さえも不明ながら、狙った獲物は確実に仕留めるウルトラスナイパーとしてヤクザたちも一目置く存在。
黒いサングラスに、黒のスーツと黒のトレンチコート、手にはこれまた黒の指なし革手袋、と全身黒で固め、極端に口数が少なく静かに獲物を狙う姿は、まさにクールでニヒルな殺し屋そのもの。
あまりに決まりすぎな容姿はもちろん、かなり抑えた口調に銃を構える仕草や何気ない立ち姿、激しいアクション等、ひとつひとつの動きがとにかくカッコイイ!
また、常に黒い大きめなサングラスをしているため、顔の殆どが隠れてしまうにも関わらず、
口元や眉の僅かな動きで微妙な感情を表現する様がたまりません。特に、トリックで子分たちをひきつけた隙に静也の背後に降り立ち、首筋にナイフを突き付けた瞬間、唇の片端を微かに上げた表情の絶妙さは
必見です。
また、一度死んだと見せかけて、後半あっと驚かずにはいられない姿での再登場には、嬉しさとともにその容貌の凄さに、思わず画面に身を乗り出してしまうこと間違いナシです。個人的に、この時のラストで見せた、のけぞった顎のラインの美しさには
かなりやられました(笑)。
京本さん以外にも、鹿賀丈史、なぎら健壱、阿藤 海、大杉 漣、石倉三郎etc.(以上、敬称略)豪華で濃ゆ〜いメンバーが勢ぞろいしたこのドラマ。最初から最期までちょっとコミカルな中にグッとくる場面もかなりある、とても楽しい作品です。
1996年4月12日
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