●● 木曜の怪談・MMR〜未確認飛行物体〜 ●●
1995年10月からスタートした『木曜の怪談』。毎回数本の話をオムニバス形式で放送するというスタイルで、若年層を中心に人気を博し、その後も数年に渡り内容を新たにシリーズ化されました。
今回ご紹介する「未確認飛行物体」は、週刊少年マガジンにて連載(原作:石垣ゆうき氏)された”MMRマガジンミステリー調査班”をドラマ化。と言っても原作をそのまま映像化したものではなく、原作をベースに登場人物、ストーリーなどオリジナルで製作されました。
出版社に勤める踝(クルブシ・中山秀征)はUFOやミステリー現象の真相を解明するという漫画、MMRMAGAZINE MYSTERY REPORTAGEを担当。同僚の皇(スメラギ・細川茂樹)、アルバイトの山下(関口知宏)らとともに、様々な超常現象や不思議な能力を持つという人々の
調査を行ったり、宇宙人と対決(!)する様をほぼ1話完結方式で描きました。
京本さんは第7話「最後の予言」に、氏家はじめ役でゲスト主演として出演されました。
彩香(立河宜子)は偶然立ち寄ったバーで、盲目のピアニスト・氏家と出会う。生まれた時から盲目の彼は、太陽の光を知らず、月の力を感じることが出来ると言い、恐ろしい的中率で未来を言い当てる。
そのことを知った皇らは、早速取材を試みるが、彼は「自分は月の教えに従っているだけだ」
と取り合わない。更に彼の予言によると、自分と彩香は結ばれる運命にあるという。唖然とする一同をよそに、すっかりその気になる彩香に慌てる踝たち。
そんな中、氏家は突然、それまで拒み続けてきた目の手術を受けると言い出した。彼の不思議な力は、月の引力を体感できるが故だ、と主張する皇は
目が見えるようになることにより、彼の予知能力も消滅してしまうのでは?と危惧する。果たして、手術が成功し初めて太陽の光を目にした氏家は、”最後の予言”をするのだが……。
ゲスト主演というだけあって、約30分の短い時間ながら出番はたっぷり。冒頭のバーでピアノを奏でる姿から、静かに予言をする様など、前半は何とも不思議な魅力に溢れています。
特に、盲目ということで、瞳はもちろん眉ひと筋動かさない静かな熱演は必見です。
そして、何と言ってもこのドラマいちばんの見どころは、思いっきり髭面な京本さん!これです。
『十字路』『花嫁は16歳』etc.ごくごくたま〜に髭がある役をなさる京本さんですが、今回は本当にもう見事なまでのと形容したいくらい、かなりワイルドな印象の京本さんが
拝めます。後半、いつものように髭がない姿となった時には、ホッとしながらもちょっぴり残念だったり(笑)。
また、後半の目が見えるようになってからは、まさに京本さんならでは!と言えるエキセントリックかつ鬼気迫る、けれど全体の印象は静か、という見事な演技が堪能できます。
タイトルが象徴するとおり、世界一有名な予言を上手く絡めたストーリーは、全体的にメリハリが利いて手に汗を握る展開に、京本さんの熱演ともども、短編ながらかなり楽しめる作品です。
1996年8月
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