●  イケ麺そば屋探偵〜いいんだぜ!〜 ●

2007年4月から2008年3月まで在京キー局を除く全国26局 で1年間オンエアーされ、密かな人気を呼んだドラマ仕立てのバラエティー「ホレゆけスタア☆大作戦」。そのレギュラー陣、藤木直人、生瀬勝久、古田新太を起用し当時の制作スタッフが手掛けた脱力系のコメディ−&ミステリ−ドラマ「イケ麺そば屋探偵〜いいんだぜ!〜」。
毎回1話を30分ずつの前篇・後編に分けた2回完結方式、QRコードを使った携帯サイトでは、いといせいこう、倉本美津留ら脚本、 時には監督を手掛けた面々自らによる解説付きで楽しめる、という斬新な手法で深夜枠ならではのゆるゆるさと豪華ゲストによるとんでもストーリーが人気を呼び、season1に引き続きseason2へとパワーアップ、更に2009年12月には 全3巻のDVD化もされました。

他人の嘘を見抜くという不思議な特技を持つ神出鬼没なそば屋の店員・樋口潤太郎(藤木直人)は、仕事のかたわら身のまわりで巻き起こる数々の難事件を解決するイケ麺そば屋探偵。ある日、青森の恐山から弟の身の上を心配した姉・イタ子(堀内敬子)が下りてきた。潤太郎の周囲には、近所の芸能事務所のオカマ社長・池田政彦(古田新太)や、ことあるごとに潤太郎と対立する刑事・黒田金造(生瀬勝久)、そばのデリバリーのバイトに励む多くのイケ麺店員など奇妙な人物たちがあふれている。そして、彼のもとには毎回なぜか大物ゲストと共に奇天烈な事件が舞いこんでくる。果たして、潤太郎は事件を無事解決することができるのか!?。

この作品に京本さんはエピソード6「イタ子危機一髪!〜伝説の亡霊〜」に松尾貴史さんとともにゲスト出演。源義経(正確にはちょっと違いますが^^ゞ) に扮しました。 

今日もイケ麺そば屋にやってきた池田社長。しかし、待てどくらせど、ざるそば1枚で3時間(!)もねばっても潤太郎は帰ってこない。それもそのはず、今日の潤太郎の出前先はなんと青森。
その潤太郎は青森への出前の途中、平泉付近で派手な鎧兜の武将と山伏姿の2人という妙な亡霊に遭遇。
話を聞いてみたところ、彼らは源義経(京本政樹)と弁慶を名乗る二人(山西惇と八十田勇一)なのだが、2人の弁慶がどちらも自分が本物だと言い張り困っているとのこと。早速、自慢の特技で2人の嘘を見抜き、義経と別れた潤太郎を 待っていたのはなんと急遽体調不良に陥った藤木直人の代役として青森スーパーアリーナでのコンサート出演だった。

潤太郎が無事、代役を務めている同じ頃、屋台のそば屋には先ほどの義経が現れ、イタ子(堀内敬子)を静御前の生まれ変わりだと思いこみ、一緒に三途の川を渡ってくれと懇願する。しかし、義経の姿は池田社長や黒田には見えないようで、無人のはずの空間に向かって話し続けるイタ子をいぶかしむばかり。イタ子からの電話で事の次第を 知った潤太郎は、すっかり義経に心を奪われた様子のイタ子を救おうとイタ子の師匠、イタロー(松尾貴史)のもとを訪ね、義経が実は偽物であることを知る。更に、イタ子がすぐに死霊に惚れてしまう性質だと聞かされた潤太郎は、急ぎイタ子の元へ駆けつけるが……。果たして潤太郎は無事イタ子を救うことが出来るのか!?そして、源義経の正体とは?


この作品で京本さんが演じたのは、あらすじでも紹介したとおり源義経。もとい、源義経の影武者として1186年に中御門東洞院にて命を落とした義経四天王の1人佐藤忠信。
のっけから義経を思わせる朱赤の装束、甲冑に煌びやかな金の鍬形がついた兜姿で登場、しかし何故か道路を疾走するという不思議なスタイルで楽しませてくれます。
源義経といえば紅顔の美少年、成長してからも美剣士として名高く、これまでも数多の美形役者の方が演じてこられましたが、50歳という年齢を感じさせない見事な美剣士ぶりは 流石です。何事にも全力投球な京本さん、とりわけ時代劇に関してはいつでもどこでも本気・真剣モードな京本さんらしく、立ち居振る舞い、台詞回しなど時代劇ならではの魅力を たっぷりと見せてくれています。が、所作はどこからどう見ても源義経なのに、口を開けば何故かノリ突っ込み、アドリブ炸裂のオンパレード。そのギャップがたまらなく可笑しく、あまりの嵌りっぷりにまたひとつ 新たな扉が開いたことを実感させられます。
しかし、この冒頭のシーン。画面で見てもわかるとおり、重さ30キロはあろうかという鎧兜を身に着け、草鞋でコンクリートの道路を走るというのは相当な苦行であろうことは容易に想像がつき、役のためとは言え そのド根性に頭が下がります。
中盤以降は兜を脱ぎ、総髪に烏帽子というこれまた美味しいスタイルなのも嬉しい限り。全編見どころ満載ですが、個人的には潤太郎に正体をバラされるくだりでのころころ目まぐるしく変わる表情とラストの指振り振りつきな「あばよ」が圧巻です。

京本さん以外でも、古田新太、生瀬勝久両氏による細かな部分まで拘りまくったシュールな笑いを追求した演技が最高に可笑しく、飽きることなく魅せてくれます。特に古田さんのマリリン・モンローになりきっての熱演は必見。 一瞬、気持ち悪っと思いながらも素敵すぎる表情から目が離せません。
前篇終盤での、池田、黒田両名には義経の姿が見えないため、京本さん、古田さんそれぞれが相手に構わず自分だけの世界に浸りまくるシーンもそれぞれの入りっぷりの見事さに唸らされる一方で、3人でのノリ突っ込みも見てみたかった!という 思いに駆られます。
また、京本さん同様ゲスト出演となった松尾貴史さんの松尾貴史オンステージも見逃せません。最近はあまりテレビで見る機会がなかった珠玉のモノマネオンパレードは何度見ても笑えます。個人的にジョンとヨーコは絶品。
更にイタ子役の堀内敬子さん扮する静御前の舞。見事な舞はもちろんですが、堀内さんが歌ういきものがかりの「SAKURA」の素晴らしさに耳を奪われます。劇団四季時代を含め数々のミュージカルでヒロインを務めた美声を たっぷり堪能させてくれます。

ゆるゆるコメディーながら、見どころ満載、とにかく楽しい内容の最後には中島らもさん作の主題歌「いいんだぜ〜君がいてくれれば〜」を出演者で持ち回りで披露という嬉しすぎるオマケつき。京本さんも義経の扮装のまま短剣をマイクに見立てて ♪いいんだぜ〜 とノリノリな美声を響かせてくれています。尚、2回目の♪いいんだぜ〜 の際の左足にも注目です。

最初から最後まで笑いっぱなしでここまで楽しませてくれてありがとう〜!あっぱれ!!と叫びたいくらいの楽しさですが、唯一残念だったのはこんなに素敵な作品が地域限定放送だったこと。
でも、DVDが出たからそれでも♪いいんだぜ〜♪

2009年6月6日、6月13日

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