● 花嫁は16歳  ●

孤児院育ちの天涯孤独な少女だった館野夏美(ともさかりえ)が、ふとした偶然から自分にそっくりな大会社の令嬢・小百合の代役で立花直人(中山秀征)と政略結婚させられることに。お互いお金(会社)の為にと形だけの夫婦だったはずの2人が、直人の兄弟とのぶつかり合い、密かに直人に思いを寄せる従妹・久美子(雛形あきこ)の妨害など様々な出来事を通して、お互い傷つきあいながらも次第に本当の夫婦へと成長していく姿を描いたシンデレラ・ストーリ。

一見、荒削りでありがちなストーリですが、ストレートな台詞の応酬に本当の家族とは?、人を愛する素晴らしさなどが見えてくる、隠れた逸品です。あの「家なき子」と同じ脚本家・いとう斗士八氏らしい、随所に泣き所満載の本作。特に中盤から以降は毎回ハンカチ必須です(笑)。



このドラマでの京本さんの役どころは、直人の秘書・柴山俊樹。秘書でありながら、親の仇であった岩崎コーポレーションの社長(村井国男)への復讐に燃え、その為には恋人でもある岩崎の一人娘・小百合をも利用することを辞さない冷たい男。
美形だけれどどこか冷たい印象を与える見た目どおり、「誰も信じないし、誰のことも愛さない」柴山。表と裏の顔を見事に使い分けるあたりは後年の「いい人」とも似た役柄。というか、この頃からこういう役柄一気に増えましたよね(苦笑)。

柴山同様、夏美を疎ましく思う久美子と組み、あの手この手で夏美の真実を暴こうとする姿は、表情から何気ない仕草まで完璧な美しさと妖しげな魅力がいっぱいです。
けれども、ずっと憎まれ役を演じてきた彼も夏美とやり合う内に、いつしか人の心を取り戻し、最終的には彼を待ち続ける恋人の元へと返ってゆきます。

そんな柴山の初回と最終回で見せる表情の見事な違いに注目してくださいね。また、同じく最終回では無精ひげ姿でやさぐれる、という珍しい姿を披露しているのも必見です。

岩崎家の執事・猪原として出演された高橋英樹氏の渋くてカッコよすぎな熱演ともども、京本さんの出演有無に関わらず、見るものの心を温かくしてくれる素敵なドラマです。
あと、今ではサラリーマン金太郎や特命刑事でお馴染みの、当時は歌手としても活躍されていた高橋克典さんが歌った主題歌「UNBARANCE」も、マイナー系のアップビートが心地よく、 切ない歌詞がドラマの内容とよく嵌る、お薦めの1曲です。

1994年10月16日〜12月18日

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