● 農家の嫁は弁護士!神谷純子のふるさと事件簿!!〜さくらんぼ殺人事件〜  ●

長澤商事(株)開発部係長・須藤賢一が自社のビルから転落する事件が発生。会社のために真実を話す、としていた直後の死など不自然な点が多かったものの、顧問弁護士の尽力で警察は結局自殺と断定。彼の死に疑問を強くもっていた宮内純子(浅野ゆう子)は、 事務所のやり方に納得がいかず、所属する大塚弁護士事務所を辞職する。その夜、飲み屋でくだを巻いていた純子は、酔っ払って発した愚痴に耳を傾けてくれた、神谷康介(山下真司)と意気投合。 康介と結婚し、山形でさくらんぼ農園を手伝う傍ら、小さな弁護士事務所を立ち上げた。

それから1年半後、純子は寒河江に大型ショッピングセンターを建設しようと乗り込んで来た長澤商事の面々と再会。建設をめぐり激しく火花を散らしあう。
同じ頃、須藤の事件で活躍した、かつての同僚・近藤直人(京本政樹)も純子の前に姿を現す。

ある夜、康介は幼馴染で後輩の城山一郎(宮下直紀)、奥野龍次(板尾創路)とともに飲みに出かけた先で、同郷の元女優・水谷麗(森川由加里)と再会する。女優として成功を収めた麗だったが、離婚とともに 仕事への意欲をなくし、山形へと戻ってきたのだった。

翌日、一郎が東京からやって来た吉井優香(黒坂真美)との結婚式当日に他殺体で発見される事件が発生。
事件当夜、一郎と口論していた龍次が重要参考人として連行される。しかし、龍次は一郎に借金をしていたものの事件とは無関係だと主張、純子に助けを求めてくる。

一方、一郎の死後も妻として家に留まり続ける優香だったが、資産家である一郎は身寄りがなく、2人がお見合いパーティーで知り合ってのスピード婚であることから、財産目当てで近づいたのでは?と噂になる。
様々な憶測が飛び交う中、今度は麗が水死体で発見される。警察は自殺との見方を強めるが、前夜麗から女優復帰の決意を聞かされていた純子はどうしても信じられない。
程なく、麗の通帳から預金を動かしていたマネージャーの武居(日比野玲)が容疑者として身柄を拘束されるが、彼も龍次同様、純子に潔白を訴えてくる。
独自に調査を進める純子は、優香と麗が元は同じ事務所にいたこと、更に優香が身元詐称を働いていたことを突き止める。一気に第一容疑者として浮上するが、彼女のこれまでの言動から純子は真犯人は他に いるのでは?と睨む。
そんな中、いつまでも寒河江に留まる近藤の行動に疑問を抱いた純子は、自説をもとに彼を問いただすが・・・。



タイトルにもあるとおり、ひょんなことから農家に嫁いだ弁護士が、怖〜い夫の姉にいびられながらも難事件を解決していく、ちょっぴり異色のミステリーです。
農家の嫁として奮闘する浅野さんの熱演もさることながら、その都会から来た嫁をいびり倒す、姉・明美役の高畑淳子さんの痛快な鬼姉っぷりが光ります。
劇中の貴重な笑いポイントとして、「六本木心中」を熱唱する森川由加里さんと並ぶ、個人的にお薦めな隠れた見どころです。

この作品で京本さんが演じたのは、純子のかつての同僚弁護士・近藤直人。
茶髪に黒のスーツをびしっと着こなし、純子曰く田舎には不似合いなほどにきつーいコロンの香りを纏う近藤先生。美形でクールな仕草に嫌味なくらいに冷たい言動が嵌り、イケメン好きな明美もニヒルな横顔に イチコロ。その予想と期待を裏切らない言動は、一時期お茶の間に浸透(?)した、2時間ドラマでの京本さんのイメージ、そのまんまな役どころです。
あまりに見慣れた姿(役柄)なため、ファンとしては少々物足りなさも感じてしまう部分もありますが、京本さん独特の肩たたきが一段と冴え渡っていたり、 ちょっとした仕草や目つきで、強烈に振り撒かれる”感じ悪い〜”オーラの強さに注目してみると、けっこう楽しめます。
しかし、そんな嫌なヤツっぷりを発揮しまくっているかと思えば、何とか手がかりを得ようと田んぼ漁りをする純子達を偵察に来るシーンでは、思わず心が洗われるような爽やかすぎる笑顔を 見せてくれるので侮れません。
また、何気に出番が多く、全編耳かけヘアーな上に、とある事情で珍しく耳元がアップになるのも密かな高ポイントです。

シリーズ初回ということで、主役・脇役ともにベテラン陣を揃え、随所に観光名所紹介を織り交ぜ、自然豊かな山形の魅力を余すところなく伝えたかったのだと思われますが、 あまりに名所紹介が熱心すぎて、場面展開が多くめまぐるしい印象を与えてしまったのが惜しまれます。

2005年7月20日

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