『白神』を『しらが』という読み方について


「白神」を「しらかみ」とか「しらがみ」という読み方は、近世から現代においての読み方であって、中世以前においてもそれが普通の読み方であった訳ではありません。

「神」の元来の読み方は、「かむ」であるとされています。

「神主」を「かみぬし」ではなく「かんぬし」≪かむ・ぬし≫、又、「神楽 =(神座)」を「かみくら」ではなく「かぐら」≪か(む)・くら≫と読むように、中世以前においては、「白神」を「しらが」≪しら・か(む)≫、「大神」を「おおが」≪おお・か(む)≫と読んだようです。

(後字が濁るのは、「前田」を「まえだ」、「徳川」を「とくがわ」と読むのと同様。)

 従って、「白神」を「しらが」という読み方は、中世以前からの読み方で、一般の事柄については時代によって読み方が変化しても、氏名(うじな)や特殊な事柄などは多くがそのまま受け継がれてきたことによるものです。

 つまり、「白神」を「しらが」と読むのは、「白神」が、それだけ由緒のある氏名ということです。


 尚、稀に「白神」を「しらかみ」とか「しらがみ」と読むのは、特段の場合を除いて、「しらが」の傍系の読み方が、近世(江戸時代)以降に、上記に反して「しらかみ」とか「しらがみ」に変化したものではないかと思われます。

 因みに、全国八幡宮の総本社とされる宇佐神宮所縁の豪族大神氏は、やはり「大神」を「おおが」と読みます。又、世界遺産に登録されている白神山地は、江戸時代中期に「白神」と称されたことから、当初より「しらかみ」と読むようです。

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