準用財政再建団体  (2005.01.24)



 ・当年度歳入が不足し、翌年度の歳入を繰り上げ、歳出を埋め合わせた場合
 ・当年度歳入が不足し、歳出すべき額を、翌年度に繰り延べた場合
 ・当年度歳入が不足し、本年度やるべき事業を、翌年度に繰り越した場合

 これらを行った場合、地方公共団体は、いわゆる「赤字団体」となる。

 今回は、市町村が「赤字団体」となった場合についてである。
 赤字になったことにより、再建法(地方財政再建促進特別措置法)の規定に基 づき財政再建を行う地方公共団体を、法的に「準用財政再建団体」という。
 (なお、「財政再建団体」という言葉は、昭和29年度の赤字団体に適用されるものであって、現在、法的にはこの「財政再建団体」は存在しない。)

 「赤字団体」になった場合、市町村には2つの選択肢がある。
1) 再建法(地方財政再建促進特別措置法)の規定に基づき「準用財政再建団体」となり、財政再建を行う
2) 自主的に再建する

 いずれにしろ、「赤字団体」となった市町村においては、次のことが想定される。
 住民にとって、プラスとなることは何一つなく、他の市町村へ引っ越してしま うケースが多数出ても、まったく不思議ではない。

○歳出の削減
・行政組織のスリム化(組織の統廃合、職員数・職員給与の削減)
・維持管理経費、事務的経費の削減
・独自サービス、独自事業(保育料軽減、医療費助成など)の停止
・建設事業の抑制

○歳入の確保
・公共料金(保育料、水道料、公営住宅家賃、公共施設使用料、各種手数料など)の値上げ
・増税(超過税率課税、法定外普通税の課税)

 一般的に考えると、「赤字団体」となった市町村は「準用財政再建団体」となることを選択すると考えられる。
 この場合は、概ね8年をめどに再建していくこととなるが、国の強い関与の元 で、財政再建計画について行政運営を行うこととなり、市町村の自主的な政策判 断は、大幅に制限される(実質できないに等しいであろう)。
 「準用財政再建団体」となった場合、次の措置が適用となる。
・地方債発行の制限の解除
・一時借入金への政府資金による融資
・一時借入金利子の一部、退職手当の一部について、交付税措置

 繰り返しになるが、再建法では、「財政の再建を行うことを申し出ること(準用財政再建団体となること)ができる」、とされており、赤字団体になろうとも、「自主的に再建する」ことを選ぶことはできる。
 しかし、この場合は、「準用財政再建団体」になった場合と異なり、地方債の発行は制限され、国の財政措置も受けられないため、極めて道は険しいであろう。


 一般的に赤字額が20%以上となった市町村を、「赤字団体」ということが多 い。
 これは、「自主的に再建する」ことを選んだ場合、「赤字額20%以上の場合は地方債の発行が制限される」ことによるものであるが、実際は、赤字額が20%に満たない場合でも、「赤字団体」である。


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