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万里江と喜江のバルセロナ通信:79
風の影
2007/01/26
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こちらはとても暖かい日が続いています。先週の土曜日、ポニークラブ(乗馬の
練習をしている所)のあたりでは既にアーモンドの花が咲いており、今日は更に
ピンク色が増えていました。昨年より2週間ほど早いのではないかと思います。 さて、『風の影』という小説をご存知でしょうか。作者はカルロス・ルイス・サフォンという米国在住のスペイン人で、オリジナルは2001年に出版されています。バルセロナが舞台の「本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー」(集英社文庫、上巻カバーより。2006年出版)です。 昨年11月下旬に万里江のお友だちのお母さんからこの本のことを聞き、本屋に行ったら平積みになっていたので買い、読みました。本のことを教えてくれた人が集英社から出ている文庫本(上下)を貸してくれたので、まずオリジナルを読んでから、確認の意味で文庫を読みました。12月のことです。 簡単な単語なのに訳が思いつかない部分は模範解答を見るような気持で読みました。補足してある部分、はしょってある部分、会話。訳する人によって本の印象も変わるだろうなあと思いながら。 そして今、初めからオリジナルを読み直しています。最初に読んだ時は筋を追ってだいたいわかればという感じで、一字一句まで丁寧に調べたわけではなかったので、気がつかなかった言い回しがたくさん出てきています。 文庫を片手に進めていますが、会話の訳は難しいと思います。話は少し逸れますが、昨年スペイン国王がベネズエラの大統領に「Por que no te callas?」と言ったと大ニュースになりました。 これを「黙れ!」と訳すか、「口を閉じたらどうだね」(callarseは英語のkeep silent)と訳すかで、受け取る側の印象は随分異なったものになるに違いありません。 描写の部分のポイントは時制でしょうか。過去形で書かれていても、現在形で訳す方がすんなり読めるならそのほうがいいのでしょう。こうなってくると、訳者のセンスによるところが大きいですね。 『風の影』は、私にとってはフリアンとヌリア、ヌリアとミケルの関係が悲しい物語でした。スペインの近現代史を知る意味でもお勧めです。下巻の最後の訳者あとがきを読むと当時の状況がよりよくわかると思うので、この本をお読みになる場合には是非あとがきもどうぞ。 佐藤 喜江
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