万里江と喜江のバルセロナ通信:62
戦略的短期療法(3)
2007/07/16
今月初め、戦略的短期療法のスペインでの第一人者、ミゲルさんの話を聞く機会がありました。
ヨガの先生から「呼んだから、聞いてみたら」とお誘いがありました。念のために付け加えると、ヨガとこのカウンセリングの方法には直接の関係はありません。ヨガの先生の個人的な趣味です。
ごく最近、ヨガの教室の看板に「講演」の文字があることに気がつきました。今までにも「○○の映画がある」「○○の話がある」と誘われたのですが、そういうことだったのかと納得。

さて、平日の夜、いくら近所(ヨガの教室は我が家の近所です)とは言え、出かけるのは大変なことです。子どもを見てくれる人がいないといけません。今回は何とか夫に頼むことができました。
当日の聴き手はヨガの先生を含めて13人、主にヨガ教室の生徒のようでした。
そもそも私が戦略的短期療法に関心を持つことになったきっかけは、コミュニケーションの方法としてこんなものがあるよと、ヨガの先生から戦略的会話術の本『Corrijeme si me equivoco』(そのまま訳せば、『間
違っていたら直してください』)を勧めてもらったことにあります。新聞記事と違って一度読んだだけでは理解できず、ノートを取って読む羽目になりましたが、面白いと思いました。
あわせて『Psicosolucion』を読み、本当にこんなこと(前回の内容と重複するかもしれませんが、※をご覧ください)で長年続いた問題(症状)が解決するのだろうかという疑問を抱きつつ、でも意表をつく解決法に惹きつけられ、更に『Conocer a
traves de cambio』(原題はKnowing through changing)を読みました。

(※例1)一人で外出できないという相談者(主婦)に、私はここで待っているから市場で一番よく熟しておいしそうなリンゴを買ってきてほしいとセッション中に頼みます。その際に「まず部屋を出てドアを閉めたら、そこでくるりと一回り、階段を降りて建物を出たところでも一回り、20歩(だったと思います。今手元に本がないので。注文中です)歩くごとにくるりと一回りしてください。そして市場でリンゴを買って戻って来て下さいね」。不安そうな付き添いの夫を残し、この相談者はリンゴを手に戻ってきたそうです。
(※例2)鏡があるとそれにぶつかりそうで外出できないという相談者(若い男性)に

「ヘルメットをかぶったらどうだろう?」と提案します。アメフット用でもいいし、バイク用ならデザインもいろいろあるからいいんじゃないか、と。この場合は、次第に持っているだけで落ち着くことことができ、最後にはヘルメットなしでも外出できるようになったそうです。

ミゲルさんの話の内容は本で読んでいた通りで、その意味では目新しいことはありませんでした。参加者に閉所恐怖症だと言う人と広場恐怖症の人がいて、その人たちの話と、一般的に言う「恐れ」(苦手な相手と向きあう、疑心から来る恐れなど)についての話がメインでした。
話(恐怖症の人の対応も含む)を聞きながら、本人の意識(見方)を変えるためにはカウンセラーがその人の考えを的確につかむことが大切であることがわかりました。と同時に、この短期療法は逆に程度の軽い症状には効果が出にくいかもしれないと思いました。戦略的会話術を含めて、この手法はうっかりすると相談者が馬鹿にされていると感じてしまう恐れもあります。
つまり、今までいろいろな治療法を試してみたけれども何の効果もなかった、とにかく何とかしたい(してほしい)という人に非常に効果的ではないかと。

このテーマで長々書きましたが、戦略的短期療法の考え方を普段の生活に生かすとは、一言で言って心をやわらかくしておこうということでしょうか。現実は見方によって変わる。いかに観察し、行動するか。正攻法だけではうまくいかないこともありますものね。

佐藤 喜江
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