夕暮れの商店街を歩いていた
多くの人が家路を急ぎ、そこには騒音が徘徊していた。

何処からか靴を見つめ歩く波を切り裂くような声が聞こえる
少し顔をあげると、そこに声の主が居た。
彼は歌い続ける、波は流れる、それでも彼は歌う
気付けば、この物語の主人公は声の主の前で足を止めていた

主人公は初めて聞く、その声を聞きながら、こんな事を考えていた
僕等は、いつしか「奇跡」って言葉を信じなくなっていた
僕等は、いつしか「頑張る」って言葉を軽く使うようになっていた
僕等は、いつしか「らしさ」って言葉の意味をはき違えていた

「声」が「詞」が「頑張る姿」が主人公の目頭を熱くさせていく
やがて、その声は聞こえなくなり、この五分間が夢だったかのように
主人公は其処に立ちつくしていた…

主人公がその刻抱いた想いは、自身も言い表せないものであったのだろう
そして主人公は、その想いを表現するために、しおりを挿んでいたページを広げてみた
其処から、この物語は始まった。 きっと…