THE STONE ROSES / THE STONE ROSES
SILVERTONE RECORDS 1184-2-J

 

 思い出深い一枚だ。思い返せばひとまわりムカシのコト。大学受験のために東京にやってきた少年は、受験会場で知り合った地元のヒトにタワー・レコードとウェイヴへの道を教えてもらった。二時間くらいはいただろうか。付き合わせてしまった彼らには大変に申し訳なかったと、イマは思っているし、当時も思ってた。彼らがいなかったら、間違いなく三時間以上はいたに違いない。

 そこで入手したのは六枚。あとはカウボーイ・ジャンキーズやバッド・カンパニーなど。休日用の小遣いなんて取ってなかった。本命が終わってキモチが楽になったのだろう。受験はまだ終わってなかったのに。

 高校生のウチに、というか、イナカにいる間に聴けてよかったと思う。ホントにそう思う。むさぼるように聴いたのだ。未来に期待と不安を抱いて、その気分を全部このアルバムにぶっつけた。沸き上がってくる希望と、そして自由。つまり、新天地に求めたすべてのモノがココにはあったのだ。

 イマでは多少感じも変わってきたけれど、それでも基本は変わらない。「憧れられたい」と歌ったバンドがオトナになり、憧れたボクらも同じように成長した。バンドは解散してしまったけれど、ボクはまだここにいる。そしてまだ、このアルバムにココロを揺さぶられてみたりする。

 楽しくやる、というコトと、成長するためにチャレンジするコト。このふたつを両立させるために必要なモノは何か。どちらも必要なモノで、きちんとバランスをとっていかなければならない。学生の頃は楽しむ方に重点が置かれていた。バランスが変わったのは、就職以降。少しでもレベルの高いところで楽しむために、チャレンジするコトを覚えた。あまり成功しているとはいいがたいけれど、少しずつでも楽しめるようにするために。

 で、それは多分“その気”になる、というコトだと思う。バンドはおそらく、ホントに世界を変える気でいたに違いない。世界が変わったのかどうかは、ボクにはよく分からない。でも、確かにボクは変わった。このアルバムだけではないけれど、ボクは数多くの“その気”にココロを動かされてジブンの“その気”を育ててきた。“その気”がどれだけ長続きするのか、そこはとても肝心なトコロだと思う。それがデカければデカいほど。

 支えるのは仲間だろう。ただ、仲間との絆も傷つけやすいのがやっかい。その瞬間に真実だったものが、次の瞬間にも真実かどうかは分からない。例えばそれが何も起きないほどの一瞬であったとしても。ましてこのバンドには空白期間が多すぎるのだ。

 まあ、そんなコトを想像しても今さらだろう。問題はこのアルバムに絞られるべきだ。パッと聴きはネオアコ路線のロック。違うのは根底にあるリズム。それはダンス・ミュージックだった。

 歌謡曲を聴いて育つとダンス・ミュージックに触れる機会がない。ましてやボクの頃はメタル全盛期である。日常普通に生きてると、全くといっていいほど情報がないのだ。ラップはイナカの少年にはお笑いにしか聞こえなかった。まあ、RUN DMCしか知らなかったけれど、バラエティー番組でネタにされてる時点でNGだった。あの時、もしマジメにヒップホップに接するコトが出来ていたら、ずいぶんと自分内音楽地図は塗りかわってしまうだろうに。

 うまくはいかないモノだ。つくづくロックは実力だけではどうしようもないというコトを思い知らされる。運とか、時代とか、偶然とか、そんな色々な不確定要素に取り囲まれてしまっている。それはロックだけじゃないけれど。

 

 

2001/12/3

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