「オーシャンズ11」 某所試写会 2002/1/17

 観る前は、“ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシアにマット・デイモンという豪華絢爛な役者陣で製作されたクライム・サスペンス”という認識しかなかった。フタを開けたらば五人組というのではなかったのでちょっとへこんだ。悪党を演じるジュリア・ロバーツをちょっと観たかった。

 ブラピ好きとしてはやはりまずブラピが何をやるのかが気になるのだが、今回のブラピはかなりチカラが抜けている。最近の雰囲気は結構ナチュラルだ。かつて「スナッチ」ではチカラが入り過ぎて群像劇をひとりじめしてしまったブラピ。周囲の役者の力量、というか存在感もあるのだろうけれど、今回はきちんと溶け込んでいる。

 他の役者陣もイイ。ずっと思っていたのだけれど、マット・デイモンはこういった役の方がイイ。「ラウンダーズ」や「レインメーカー」での優等生も悪くないけれど、むしろボクは「リプリー」のような劣等感キャラや、今回のようなちょっとヒガミの入った感じの方が好き。こっちでならこの先もイメージできる。これが二枚目スターから役者への脱皮というヤツか。

 脇役陣も魅力的。きちんとキャラが立っているからだが、劇中では全員が均等に扱われているためにマットとかとふつうに張り合っている。むしろ存在感においてはマットを軽く凌ぐ連中がごまんといる。うわぁ、マット若造。そういえば「スパイ・ゲーム」でレッドフォードと張り合ったブラピもとても若造だったっけ。

 それにしても、なんでベースの音というのはこうドキドキしてくるのだろうか。オープニングシーンのあと流れ出した音楽はかなり期待を煽った。比較すれば、「パルプ・フィクション」のオープニングに匹敵する音楽のチカラ。そして煽られた期待が萎むことはなく、最後までハナシは流れ続ける。

 ハナシ自体はこの際どうでもイイ。「ブルース・ブラザーズ」と「エントラップメント」を足したようなモノだと思えばいいだろう。ハナシよりもむしろ演出に拍手だ。ちょっとスコセッシの入った演出はいつものソダーバーグだけれど、総決算!という迫力がみなぎっている。むしろ次回作は観逃せない、と思わせてくれる。そういう映画はジツはあまりない。このスピード感!リズム感!テンポ! このすべてが「トラフィック」には欠けていた、とまでは言い切れないけれど、あちらはもっとドラマとしての完成度を優先させたきらいがあったと感じている。言い切ってしまえば、「トラフィック」は「オーシャンズ11」の習作だったのだ。

 地理関係の把握が面倒臭い一瞬もあるけれど、無視してしまうコトもできる。もっとドンパチがあれば、と思う一瞬もあるけれど、すぐにどうでもよくなる。こんなスリリングなクライム・ムービーはそうはない。ビデオでもあまり面白さは損なわれないと思うけれど、その場合はせめて、ちょっと音を大きめにして楽しんでもらいたいと切に願う。

 二時間の暇つぶし。お役目は確かに果たされた。

 

 

2002/1/17

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