こういうイギリス映画はたいてい当たる。不思議なジンクスである。イギリス好きなのか。それともたまたまなのか。ちょっと前なら「ブラス!」や「リトル・ヴォイス」などがあった。侮れないのは、人間ドラマでありながら風景がとてもキレイなところ。この作品でも、草原がとても印象的に残っている。
監督はスティーブン・ダルドリーというヒト。「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス同様、イギリスの演劇界のヒト。だからコレが長篇映画のデビュー作だそう。短編? 観たことありません。だからこの作品が作家性の中でどう語られるのかはよく分からない。
つながりが直接的で申し訳ないが、この作品はボクの中では「セイブ・ザ・ラスト・ダンス」に繋がっている。むろんダンスつながりだけれど、どちらとも、バレエそのものに最初からひかれるのではなく、ロックやヒップホップを媒介として“踊る楽しみ”を得ていくステップがイイのだ。何だかんだ言っても、今現在、習い事以外でバレエが好きだなんて子供がいるとは思えない。だいたいは「言われるがままにやってたけど、実はコレ好きかも」という感じではないかと思うのだ。
そうではなく、踊る=体を動かすということが楽しい→ダンススクールはバレエしかない→バレエ教室に通う、というステップ。美しいけど、なかなかない。この作品では、偶然見たバレエ教室の練習に魅了された少年の物語、と言うことになっている。コレはコレでまた、珍しいと思う。
長々とダンスについて書いたが、この作品の魅力はそこではない。実は「家族」と「信念」というそれこそが魅力だ。主人公の少年がダンスを習いたいと言い出し、反対される。家族がその反対からどう賛成・応援に転じていくのか、が本当の魅力である。
夢を叶える話はハリウッドに腐っている。どこでも勘違いしがちなのは、“夢を叶えるために動くこと”を物語の主軸に置きがちなところだ。でも、そうではない。そんなものは美しくも何ともない、ただのワガママだ。周囲こそが美しいし、大変なのだ。そう思う。
この作品では、その周囲が実に魅力的に描かれている。ひとりひとり、キチンとキャラが立っている。メインのストーリーがたわいない分、実にキャラクターが魅力的だ。逆にメインストーリーが入り組んでいたり、やたら長尺だったりすると、キャラを立ててるヒマがなくなってしまうのだ。記号的に役割を全うするだけで終わってしまう。試しにこの映画と、ハリウッド大作とを比べてみるとよい。大作を見終わったあと、キャラクターで愛情を持って思い出せるのはおそらく2〜3人。あとは、「そんなヒトもいた」でまとめられてしまう。それは余りにもさみしい。
それにくらべると、このキャラクターたちの魅力的なこと! ボクはこの街に住んでもイイ、そう思う。仕事は無いだろうけれど、ボクを泣かせた頑固おやじに会いに。
2001/9/7