観る前はネガティヴだった。「YAMAKASI」も楽しめなかったワケではないけれど、正直イマイチだった。リュック・ベッソンの監督としての近作はイマイチだ。でも、プロデュース作でボク的にはずいぶんとヒットがとんでいる。短くて、よけいなコトを考えなくてよくて、音楽がノリノリである。しかも「TAXI」のシリーズはオンナノコがかわいい。コレ以上はなにも求めない、とはちょっといえない。
実際ヒロスエも大して好きなワケではない。嫌いではないけれど、特に注目の、というワケでもない。「秘密」はよかった。岸本加世子に引っ張ってもらったという印象はあるけれど、あれでボクのヒロスエに対する印象はずいぶんと変わった。役者としてのヒロスエの価値、とでもいうべきモノがあそこにはあった。
さて、「WASABI」である。いや、ヒロスエがかわいい。この役が魅力的じゃないと、この映画は多分ぶちこわしになってしまうと思うけれど、とてもかわいい。動きまくり喋りまくり泣きまくり。実際そこまでかわいくなくてもいいんじゃないか、というぐらい。言いすぎか。
ジャン・レノはいつも通り。とてもいつも通り。手を抜いてるんじゃないか、という予想もどこかで見たけれど、そんなコトはない。いつものようにドンくさそうなルックスでアクションをこなしていく。
でも、この映画の一番のポイントは実はヒロスエではない。というか、役者ではない。それは“日本”だ。何だってそうだが、土地に絡んだ物語を紡ごうとすると、どうしてもその土地とのコラボレーションになってしまう。多分ちょっとした海外映画・ドラマ好きなら、海外の作品で日本でロケーションしたモノを観たことがあると思う。正直“日本”を描くという点に於いてはどれもこれもひどいデキだった。それが今回はあまりない。“全然ない”とは正直いえないけれど、とてもナチュラルな日本。ナチュラルじゃないのは、フランス語を喋る人間が多いコトぐらいか。ほかにもあるけれど、まあいいと思う。
不思議なのはこの「WASABI」の監督はあの「TAXI2」を撮ったヒトなのだ。あれの日本人の描き方はひどかった。マンガちっくなあの映画には似合っていたと思うけれど、オマエ何も知らないだろう、と言いたくなるくらいだった。
それはつまり、日本の制作側の才能に対してもかなり門戸が開かれていたという証拠だと思う。例えば海外映画で日本のポップ・ミュージックがここまで使われた例はあまりない。ラストにあの曲が鳴りわたった瞬間、ボクは全く違和感を感じなかった。むしろとても気持ちがよかった。逆に海外でどう受け取られるのかが気になるけれど、そこはボクのチカラの及ぶところではない。ヒットしてくれないと次に続かないのだが、ここからは日本ががんばるばんではなかろうか。
褒めてはみたけれど、じつはつっこみどころも満載なこの映画。細かいコトが気になってしょうがない、ってヒトは観られないかもしれない。それはもう、おいおいって言いたくなるトコロがたくさん。それよりもそのシチュエーションを素直に楽しめるヒト向け。あまり考えずに楽しむが吉。でもさあ、いくらなんでもね、あのワサビが“日本でいちばんうまい”ってのはどうかと思うのよ。本気にされたらどうするの。
ワサビ嫌いなボクではあるけども、今回のWASABIはたいへんおいしくいただきました。ごちそうさま。
2002/2/11