「猟奇的な彼女」 2003/2/13 16:50 シネマスクエアとうきゅう

 予告を方々で見て、これ、おもしろそう、とずっと思ってた。さらに以前、土曜日に観に行ったら立ち見になっていたコトもあった。期待はふくらむ。韓国産のラブコメはわりといけるし。

 実際にこの作品に触れてみると、「猟奇的」という言葉にはベツの(あるいは独自の)イミが込められているコトに気付く。最初は「猟奇的」ってほどじゃないだろ、と思っていても、そのうちに、ああ、これが猟奇的ってコトなんだ、と思いはじめる。実際にパンフレットによると「猟奇」=「特異、タフ、面白い、突拍子もない」だそうだ。韓国内の流行語だな。

 原作は韓国国内でのインターネット内での連載小話。そこにはすでに「猟奇的」の文字があり、そこから単独で言葉が走り出した、というのが現韓国での「猟奇的」。要するに日本ならテキストサイトか! 当然作者は職業作家ではなく、本職を別に持つ素人。現在にいたるまで第二作は発表されていない。

 ここまでの説明で想像はつくと思うけれど、通常のパターンとはまるで違う成り立ちの映画なのだ。それがここまで育ち、ブームがブームを呼び、こうして日本でも観られるようになるなんて、素直にすごいなあと思う。誰かブームの最中に「ヒットマン事件簿」でも映画化しようと考えたヒトはいなかったのだろうか。

 やっと中身のハナシ。何と言っても愛らしいヒロイン! そしてヒロインに振り回される男もいい。周辺も悪くないけれど、徹底的にこのふたりにだけ焦点はあてられる。ボクはわりと韓国映画を観てきたけれど、ふたりとも初めて観るカオだった。それも新鮮でよかったと思う。ここで使い古されたハン・ソッキュとか言われたら、ここまで新鮮味を感じるコトはなかっただろう。低予算映画の魅力のひとつは、新鮮な役者である。

 ヒロインにはチョン・ジヒョン。正直最初はあまりかわいくない。ところが物語が続くにつれてかわいくてかわいくてたまらなくなってくる。チョン・ジヒョンではなく、劇中の彼女がかわいいのだろう。思うつぼにはまりまくりである。こうじゃないと成立しない映画なんだから当たり前なのだけれど、ここまでかわいく見えればもう!

 この台本は、そのままでは日本では撮れないだろう。ひとつには、自然がまだまだ残っている韓国だからこそのロケーション。韓国的にそういった部分がどう受け取られているのかは分からないが、二年も三年も先にそのままの状態である自然なんてものがこの日本にあるとは思えない。そしてもうひとつには社会風俗の問題。韓国人が焼酎好きであるコトはよく知られているが、あそこまで焼酎ばっかりとは思わなかった。日本人はああいう飲み方しないからなあ。

 物語の語り方としてちょっとあざといだろ、と思う部分はないでもない。でも、そこはこちらの期待の180度逆を行っているので驚いてしまうだけで、ボクがそこでどれだけ違う進行を望んでいるのかの証明だと思う。実際、ここまでふたりの行く先を気にしながら恋愛ものを観たのは久しぶりだ。ホントに幸せになるといいなあ、と思えるカップル。

 同じ手はもう二度と使えないけれど、韓国映画にひとつ、傑作が加わったと思う。スクリーンで観ておくべきだ。彼女のいるヒトは彼女連れで行って、帰りに思いっきり殴られるといい。雨降って地固まると言うじゃないか。いや、他意はない、他意は。

 

2003/2/14

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