今年観た中では、ダントツでいちばんかわいい映画。“かわいい”という評価が適切かどうかはちょっとわからないけれど、観終って考えたのは、“なんてプリティー!”ってコトだった。小物にも目は行ったけれど、むろんアメリが、というか映画としてのアメリ自体が可愛くてしかたがない。
もう劇場で観られるとは思ってなかった。正直なトコロもう上映は終っていると思っていたのだ。まだやってる、と知った瞬間にスケジュールを押さえた。まだまだ客は入ってる。
かわいいかわいいとはいうけれど、ダテに「デリカテッセン」を撮ってない。時々アクセントのように挿入されるグロテスクなシーン。悪趣味な展開も含めてこの監督の持ち味だと感じさせる。ボクは全てを肯定しているワケではない。“悪趣味”という言い方にはあまり肯定のイミはない。ただ、いい装飾になっているコトは事実なので、多分何度でも楽しめる映画だと思う。観る度に新しい発見があるような予感がある。これだけ長期間に渡って公開されていて、未だに集客が衰えないのはそういうコトなのだろう。実際ボクの観た回はほぼいっぱいだったが、次の回はもう立ち見だった。
オープニングからいい。ヒトコトで済むのに、それを装飾していくコトで物語はがぜん楽しくなる予感がする。うまいなあ、と思わせられるシーンだ。装飾として不要なのでは?と思うシーンもあったりはするけれど、そりゃ受け取り方の問題であろう。ボクにはボクの観方がある。ヒトにはヒトの観方がある。好きなトコロで喜ぶがよい、そして好きなトコロで悶えるがよい。
とにかく物語の中心は、こちらは役名としての、アメリだ。彼女が周囲に対してアクションを起こす、周囲が彼女に対してアクションを起こす。それが観ていて微笑ましい。特にアメリがするいたずらの数々がとてもいい。説明をひとつひとつするのはバカバカしいが、ひとつだけ好きないたずらをあげると、人形のエピソードだ。あれはとてもいい、というかボクもやりたいくらいのいたずら。
映画としてどうかというコトとは別に、アメリの行動にもどうかと思うコトがいくつかある。日本人としての倫理観の問題だろうと思うコトもあるし、ジブン美学としてのNGもある。でも、くどいようだがヒトそれぞれなのだ。
さっきからくどいほど繰り返しているが、つまり、“ヒトそれぞれがまんまアメリに接している”と思ってもらって間違いはない。アメリのいいところも、ちょっとそれは、というところも全てひっくるめて“人間”アメリに接していると思わせられる一本。ちなみにアメリ以外でのお気に入りはナレーターと八百屋店主のお父さん。彼のクセってば、ホントに愛らしい。困るヒトもいるだろうけどね。
コレを観て、まるで楽しめない!なんてヒトはあまりいないと思うけれど、この監督の他の映画を知らないヒトはいっぱいいると思う。そんなヒトはゼヒ、「デリカテッセン」を観て欲しい。グロテスクな背景をバックに奏でられるのは、絶品の純愛物語だ。劇中でキャストが鳴らす音楽と共に、味わってもらいたい。ちなみに賛否両論あるようだが、「エイリアン4」も割と好き。ラストシーンの切なさはシリーズ随一だとボクは決めつけている。
そしてアメリのラストシーンのハピネスは、どこにでもあるようでどこにもないような、そんな刹那的なハピネス。みんな幸せになろう。アメリを見習って。ボクも、あなたも。
2002/4/28