ドカベン / 水島新司

 誰でも知っている、野球マンガと言えばこれだろう。
 「巨人の星」や「がんばれ!タブチ君」などもあるが、意外と読んだ/観たって人は少ないんではなかろうか。あとは「キャプテン」に「プレイボール」に「タッチ」。「タッチ」は逆に30代後半くらいから購読層が薄くなってきそうな気がする。ムリがある? いや何せ、ここは「ドカベン」なのである。

 オリジナル「ドカベン」の魅力が何だったのか、は、プロ野球編を読めば明らかだ。寝かせに寝かせた結果、ファンから一番言われること、自身もいちばん描きたかったところだったのだろう。つまり、あの人たちは、卒業してどうしたんですか?とか、もう野球はやらないんですか?とか。

 どんなに無茶苦茶でも、キャラが魅力的なら長く愛される作品になる、と言うことをこの時代の作品は教えてくれる。どの人気作もムリムリ創っている。代表的なのは「あしたのジョ−」の力石だろう。作画担当がイヤにでっかく描いたから、あの減量エピソードが生まれたって言うのは、原作・作画・編集の打ち合わせ不足に他ならない。ま、結果オーライでいこう。

 同じようにこの作品でもムリがまかり通っている。ムリと言うよりムシ。ムシがまかり通っている。伏線とか、そういうしゃらくさいことは考えちゃいけないのである。試合を魅せる、ということには非常に細やかだが、他の部分に於いては大雑把この上ない。それでも読んでしまう、それがキャラクターのチカラなのだ。

 岩鬼、殿馬、里中、微笑に山田である。一校の一学年にそんなに揃えてどうするのだ。阪神タイガースにぐらいなら勝てたのでは無いか、とPL学園が昔、そんなことを言われた気がするが、そんなものではないだろう。この年の全国の卒業生を集めてチームを作れば、プロ野球でもトップクラスのチームが出来上がるだろう。作品中では、そのレベルアップまで含めて山田の功績にされている。御都合主義によって次々と現れる強敵たちが、全て打倒山田を掲げてくる不思議。ろくすっぽ野球のルールも知らなかったような連中が最大の強敵になってしまうのである。

 思い返せば最初に異業種から野球の山田に挑んできた、とされているのは雲竜だ。サブキャラではいちばん好きだ。でも雲竜は最初からお相撲さんだったわけではない。完璧に後付けだ。それに影丸。彼にいたっては、柔道から追い掛けて山田にチャレンジしたくせに、高校最後の夏には剣道をやっている。しかもプロ野球編にもライバルで登場する。いいように使われているのだが。が。

 そんなことを気にしていてはこの作品は楽しめない。突っ込みどころは多々あるが、ここではまとめてしばってゴミに出そう。そして試合の中の野球ドラマを楽しもう。あきたらやめよう。それでいいと思う。

 現にプロ野球編は、ボクはいい加減飽きた。

 

 

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